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機関誌

2007年度バックナンバー連載歴史2月

2007年2月1日更新

連載 非破壊検査の歴史

我が国における超音波探傷の歴史 [?] 松山  宏 名誉会員(前湘菱電子(株)・元三菱電機(株))

 

The Histoy of Ultrasonic Testing in Japan[?]

Hiroshi MATSUYAMA Honorary Member (Formerly Shoryo Electronics Co./Mitsubishi Electric Co.)

 
キーワード 非破壊検査, 超音波探傷検査,パルス法,反射法,
超音波探傷装置,超音波厚さ計



5. 我が国における超音波探傷技術の成熟期 
  その1(1972〜1981年)(続き)
 1975年,超音波探傷器の性能は,ほぼ満足できる状態に達し,研究の課題は,厚板用自動探傷装置から出力される莫大な量の探傷データの処理方法と,そ れに使用する計算機の性能などに向いていった。しかし,多くは1964〜1973年ごろに設置された厚板用自動探傷装置に関するものであった。
 この年,新日本製鐵の探触子保持機構の開発が進み,実機として使用できる目処が立ったと思われる。そして,その保持機構を用いた自動探傷装置の開発の パートナとして三菱電機を選んだ。三菱電機は,この時まで,大規模の厚板用自動探傷装置を一台も製造した経験がなかったので,やや安易にこの開発を引き受 けた感がある。もし,1964〜1973年に厚板用自動探傷装置の設計・製造の経験があれば,恐らくこの開発を引き受けるに際してかなり逡巡したのではな かったと思われる。
 新日本製鐵から提示された探傷装置の基本要求事項は,凡そ次のとおりであった。
(1)幅5.5 mで長さが10 m以上の厚板内部を全面探傷する。
この計画から,有効ビーム幅20 mmの探触子を用いるとして,約280個の探触子と280台の探傷ユニット(探傷器のように表示器がなく,人手で調整できるつまみもないので,探傷器と区別するため「探傷ユニット」と呼ぶ。)で構成される探傷装置とする。
(2)この装置の操作は,探傷感度の校正を含めて一人で可  能とする。 
(3)製鉄所の製造ラインで使用しても,周囲の電気外来雑  音による,誤動作・きずの誤検出が皆無とする。
(4)最高探傷速度は,毎分60メートル(1 m/s)とする。
(5)探傷感度は、最高探傷速度において,厚板内部に存在す  る直径4 mm以下の平底穴相当のきずを検出できるもの  とする。
(6)探傷結果は高い再現性が得られものとする。
(7)探触子の劣化の程度を自動的に測定し,そのデータを  残すとともに,探傷装置の健全性を示すトレーサビリ  ティのデータを残すものとする。
(8)探傷結果は,次の探傷が開始される前に処理する。
 これらの条件のうち三菱電機が技術的経験があるのは,探傷装置の直接デジタル制御ぐらいで,特に(2),(3)及び(4)に関しては全く経験がなく,これらの条件を満足する探傷器を最初から開発する必要があった。

 

 

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