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機関誌

2007年度バックナンバー論文4月

2007年4月1日更新

論文

ソフト探触子による腐食部材の厚さ測定

 島田 道男/成瀬  健/高橋  修

 

Thickness Measurement of Corroded Steel Plates Using Soft Element Probes
Michio SHIMADA*, Takeshi NARUSE* and Osamu TAKAHASHI**

Key Words Ultrasonics, thickness measurement, corrosion, soft element probe, measurement error



 1. 緒言
 船舶や海洋構造物は腐食性を有する海洋環境で使用されることから,健全性の確保のため超音波厚さ計を用いた腐食衰耗のチェック1)が広く実施されてい る。一般に,腐食した部材の厚さを測定する際には,超音波の伝搬を安定化させるため,腐食凹凸面の平滑化を必要とする。しかしながら,船舶等では,厚さ測 定が多数に及び,また平滑化のためのグラインダ用交流電源の準備などを要することから,腐食凹凸面の平滑化が省略できれば,大きなメリットがある。このよ うな要望に対し,振動子が柔軟に変形できるソフト探触子の適用が有効と思われたので,実際の腐食衰耗試験片に対し,ソフト探触子と従来型探触子による厚さ 測定の比較実験を実施した。

凹凸面に通常の超音波探触子を押し当て,得られた底面エコーから厚さを計算すると,探触子と腐食凹凸面の間に存在する接 触媒質中の伝搬時間が底面エコー伝搬時間に加わるため,厚さ測定値は真の値より大きくなる。これまでの腐食凹凸面における測定実験から,船体鋼板に生じた 凹凸(表面粗さRy 0.5〜1.5 mm,基準長24 mm)においては,0.6 mm〜1.5 mm程度過大評価することが分かっている2)。
 腐食管理の面からは,厚さの過大評価は危険側の評価であり,避けるべき現象である。腐食凹凸面における超音波厚さ測定に関しては,集束探触子を用いた方 法3),小径探触子による方法4),遅延材探触子を用いた方法4),電磁超音波による方法5)などが検討されたが,それぞれ,水浸法であり腐食凹部形状の 影響を受ける,十分なSN比が得られない,超音波の波形により精度が大きく変動する,低周波数で小型の装置が無いなど課題が残っており,現状では実使用に 至っていない。
 ソフト探触子は凹凸面に押し当てられると,凹凸面に沿って変形するので,探触子と凹凸面の間の接触媒質の厚さを小さくできる。これによって,接触媒質中の伝搬時間が減少し,厚さ測定の過大評価が改善されると期待される。
 また,ソ フ ト探触子を用いた厚さ測定における現象を理解するため,超音波ビームトレース計算による検討を行った。

 

 

*(独) 海上技術安全研究所(東京都三鷹市新川6-38-1) National Maritime Research Institute
* ジャパンプローブ(株)(横浜市南区中村町1-1-14) Japan Probe Co.,Ltd.

 

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