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機関誌

2024年5月号バックナンバー

2025年10月27日更新

巻頭言

「新しいX 線画像化検出器とその応用」特集号刊行にあたって

富澤 雅美

X 線による情報を画像化する非破壊検査において最も基本的な構成要素は,X 線を発生するX 線源,そのX 線を検出して画像化するX 線画像化検出器,そして,それらの配置・動作・画像化に関わるシステムの三つに集約できると思われます。このうち,一つ目については2023 年5 月号(72 巻5 号)にて「特長のあるX 線管・X 線発生装置とその技術」と題して最新の特徴的なX 線源について特集しました。今号では,二つ目について「新しいX 線画像化検出器とその応用」と題して,それぞれの特徴,仕組み,性能,そして,応用例と従来のX 線検出器との比較などを特集します。

X 線による像を電子の像に変換するX 線画像化検出器を構造と仕組みによって大別すると,次のようになります。

間接変換型(X 線フォトンを間接的に電子に変換):X 線をシンチレータで可視光に,それを撮像素子で電子に変換します。下記のa)~ c)のタイプがあります。
a)X 線イメージインテンシファイヤ:シンチレータ(X 線を可視光に変換)+ 光電変換面+ 電子レンズ機構+ シンチレータ(電子を可視光に変換)+ カメラ(レンズ+撮像素子)。
b)フラットパネル型:シンチレータ+[FOP:ファイバオプティックプレート]+ 撮像素子(CCD,CMOS,アモルファスSi-TFT,IGZO-TFT)。一般にFPD(Flat Panel Detector)と呼ばれます。
c)レンズ結合型:シンチレータ+ レンズ+ 撮像素子。主に,大きなシンチレータ板(蛍光板)を撮像する広視野タイプと小さく高精細なシンチレータを高倍率で撮像する高分解能タイプがあります。

直接変換型(X 線フォトンを直接電子・正孔対に変換):X 線フォトンをSi,CdTe,アモルファスSe などの半導体素子で直接電子(電子・正孔対)に変換します。その電子・正孔対を画素ごとの電極に電圧をかけて読み出します。下記のd)とe)のタイプがあります。
d)電荷積分型:読み出した電荷を画素ごとに積分します。
e)フォトンカウンティング型:X 線フォトン一つごとに生じる電子・正孔対の電荷をパルス信号に変換し,あらかじめ設定したエネルギー帯域ごとのパルス数をカウントします。各パルスの波高値からX 線フォトンごとのエネルギーがわかり,エネルギー帯域ごとのパルス数から検出器への入射線量がわかります。特に医療用ではPCD(Photon Counting Detector)と呼ばれます。

a)~ c)は,X 線フォトンをシンチレータで一度可視光に変換し,それをレンズ経由で撮像,または,撮像素子で直接撮像します。シンチレータからは個々のX 線フォトンがもつエネルギーに比例する数の可視光フォトンが生じます。その可視光から撮像素子の画素ごとに得られる電子を1 フレームの時間にわたって積分します。この積分の過程で個々のX 線フォトンがもっていたエネルギーの情報は失われます。基本的には各画素に入射したX 線フォトンから生成された電子の電荷が1 フレームの時間にわたって積分され,各画素の値として得られます。

一方,d)とe)は,シンチレータがなく,X 線フォトンを半導体素子で受け,X 線フォトンごとのエネルギーに比例する数の電子・正孔対に直接変換します。その電子・正孔対の電荷を画素ごとの電極に電圧をかけて収集して電圧信号に変換すると,X 線フォトンのエネルギーに比例する波高値のパルス状の電圧信号が得られます。d)はエネルギー情報が失われますが,e)はこの波高値をいくつかのエネルギー帯域に区分け(弁別)してカウントするのでエネルギー帯域ごとのX 線フォトン数がわかります。こうしてわかるエネルギー情報を含む画素ごとのX 線入射量から仮想単色X 線画像,K 吸収端(K エッジ)画像,実効原子番号画像,電子密度画像などを生成することができます。また,画像のコントラストの向上,物質弁別,そして,線質硬化対策などに利用することもできます。さらに,低ノイズ,高分解能という特徴をもっています。

この特集では,新しいX 線画像化検出器とその応用について,6 件の解説をしていただきました。1 件目は上記のb)のタイプです。藤原 健様に「IGZO を活用したX 線検出器の発展とその応用」と題して,撮像素子としてIGZO がもつ種々の特徴(大面積・高精細・高フレームレート・長時間露光・高放射線耐力),および,その特徴を活かす画素間に隔壁をもつシンチレータとの組み合わせ,4K CT・マイクロCT・並進CT への応用例という研究開発について解説していただきました。

 2 件目と3 件目はe)のタイプです。2 件目は菅波有紀彦様に「フォトンカウンティング型検出器の特性・特徴とその産業応用」と題して,フォトンカウンティング型の仕組みと特徴をb)のタイプとの比較を含めて解説していただき,また,新しい技術への取り組みと検査への適用例を解説していただきました。

3 件目は檜垣 徹様,中村優子様,立神史稔様,粟井和夫様に「医療分野におけるフォトンカウンティング型X 線検出器CT」と題して,まず,従来のエネルギー積分型検出器(Energy Integration Detector,EID,b)のタイプ)を用いるEID-CT に不足している3 つのポイント(空間分解能,濃度分解能,放射線被曝)を解説していただき,続いてPCD を搭載する医療用X 線CT(PCD-CT)の仕組みと画像を医療用EID-CT と比較しながらPCD-CT の現状と今後期待することについて解説していただきました。

4 件目はc)のタイプです。亀島 敬様と初井宇記様に「光拡散フリー透明シンチレータDIFRAS を用いた広視野・高解像度X 線画像検出器の開発」と題して,放射光施設で用いられるレンズ結像方式の高精細X 線画像検出器について,レンズの回折限界性能に近い空間分解能を得るための手法,および,高感度化と高解像度化を目的としたシンチレータ光学系の最適化,そして,1.5 億画素の高解像度CMOS イメージセンサを用いる広視野・高解像度化の開発について解説していただきました。

5 件目はd)のタイプです。西村龍太郎様に「SOIPIX 検出器「INTPIX4NA」を用いた高速・高感度・高解像特性半導体X 線カメラの開発」と題して,SOIPIX 検出器の概要,および,INTPIX4NA の特徴,そのX 線イメージングへの利用に向けた性能評価と今後のさらなる応用について解説していただきました。

そして,6 件目はc)のタイプです。矢代 航様に「放射光を利用した時間分解能ミリ秒オーダーのX 線CTの開発」と題して,一度限りまたはそのたびに異なる高速に変化する事象を,ミリ秒オーダーの時間分解能と10 μm 前後の空間分解能で観察することができる世界最高の時空間分解能をもつX 線CT の開発について,その原理と応用例について解説していただきました。

この特集によって,新しいX 線画像化検出器の種類とそれぞれの特徴,得られるX 線像の特性と画質などについて,知見を広げ,理解を深めていただき,本特集が読者の皆様にとって有意義なものとなることを切に願います。

最後になりましたが,本特集号にあたりまして,年末年始から年度末という一層ご多忙な時期を挟みながらも,大変貴重な内容を丁寧に解説していただきましたご執筆の皆様,ならびに編集にあたりましてご尽力頂きました皆様に深く感謝申し上げます。

 

解説

新しいX 線画像化検出器とその応用

IGZO を活用したX 線検出器の発展とその応用

(国研)産業技術総合研究所 藤原  健

IGZO-Based X-ray Detectors: Innovations and Expanding Horizons
National Insitute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) Takeshi FUJIWARA

キーワード: IGZO,FPD,並進 CT,マイクロ CT,X 線,非破壊検査

 

はじめに
 非破壊検査には多様なニーズが存在し,大型の自動車部品から微小な電子部品,生物学的なサンプルや地質学的な鉱石まで,産業利用から学術利用まで多岐にわたる。X 線による非破壊検査技術は,これらの幅広いアプリケーションにおいて,対象物の内部を精密にかつ非侵襲的に観察するために特に重要である。しかし,高い空間分解能や広い有感面積を備えるX 線検出器が常に最適とは限らない。対象物の元素組成やサイズに応じた適切なX 線源,検出器,撮像手法の選択が,有効な検査結果を得るためには不可欠である。

本稿では,筆者が取り組んできたX 線による非破壊検査技術の研究開発を総覧する。酸化物半導体(IGZO:Indium-Gallium-Zinc-Oxide)を使用したフラットパネルディテクタ(FPD)を基盤技術とし,FPD 本体の開発もさながら,隔壁シンチレータ,4K CT(Computer Tomography,コンピュータ断層撮影),マイクロCT,並進CT といった,これまでの研究開発を具体的に掘り下げる。これらの技術は,従来の技術では対応できなかった新しい課題を解決するために開発されてきた。また,誌面の都合上すべては紹介できないが,様々な課題に対応するためにあらゆるタイプのX 線発生源も取り揃える必要があった。表1 には,これまでの研究において活用してきたX 線源の仕様とその主要な用途を概説している。これらのX 線源にはエネルギーや管電流,スポットサイズ,照射角,可搬性などそれぞれ特色があり,これらを用途や目的に合わせて使い分けている。

 

フォトンカウンティング型検出器の特性・特徴とその産業応用

バレックスイメージングジャパン(株) 菅波有紀彦

Photon Counting Detector for Industrial Application
Varex Imaging Japan Yukihiko SUGANAMI

キーワード: フォトンカウンティング,検出器,エネルギー弁別

 

はじめに
 現在,X 線画像検出機に関しては多くの検出器手法が発表され,様々なアプリケーションで使用されている。これらの検出器の多くは,間接変換型と直接変換型に分けられるが,CdTe やCdZnTe(以下,CZT)を用いた直接変換型の検出器のうち,X 線のフォトンをカウントするフォトンカウンティング型検出器は,その高いエネルギー分解能や検出効率の高さから,様々な新しいアプリケーションでの活用が行われている。本稿では,現在進行中の新しい技術への取り組みと適用例について解説する。

 

医療分野におけるフォトンカウンティング型X 線検出器CT

広島大学 檜垣  徹  中村 優子  立神 史稔  粟井 和夫

Photon Counting X-ray Detector CT in Medical Field
Hiroshima University Toru HIGAKI, Yuko NAKAMURA, Fuminari TATSUGAMI and Kazuo AWAI

キーワード: コンピュータ断層撮影,フォトンカウンティング検出器,医療用 CT,高分解能 CT,マルチエネルギー CT

 

はじめに
 医療における画像診断分野では,X 線CT(Computed Tomography)は低侵襲に人体内部を画像化できる手段として非常に重要な役割を担っている。特に日本では,100 万人あたりの医療用X 線CT 装置の設置数が116 台と世界第1 位1),年間のCT 検査数は人口1000 人あたり229 件2)と,いずれも世界で高い水準に位置しており,CT 検査への依存が高い国として知られている。医療分野で用いられているCT 装置として,従来よりエネルギー積分型検出器(Energy Integration Detector:EID)を採用したEID-CT が用いられてきた。EIDは,被写体透過後のX 線をシンチレータによって光に変換することによってX 線を間接的に計測するものであり,X 線のエネルギースペクトル情報を失うものの,効率的なX 線イメージングが可能であった。これに対しフォトンカウンティング検出器CT(Photon Counting Detctor CT:PCD-CT)は,個々のX 線フォトンをエネルギー情報ごと計測できる一方で,X線CT で用いられる多量のX 線フォトンの処理が難しく,永らく実用化の目処が立たないままであった。図1 に,医療系論文検索サイトである「PubMed」にインデックスされた年ごとのPCD-CT の論文数を示す。2000 年台前半頃からPhilips社やSiemens 社によるプロトタイプPCD-CT 装置の開発が盛んになってきたことから,徐々に論文発表が見られるようになった。しかし,PCD-CT が利用できるのは装置メーカと共同研究を行うごく一部の施設に限られたことから,その後20年程度は緩やかな増加を見せるのみであった。この状況に一石を投じたのは2021年末,Siemens 社の臨床用PCD-CTであるNAEOTOM Alpha の販売開始であった。多くの医療施設へのPCD-CT の導入が始まり,それに従い2022 年より論文数は急増することとなった3)。臨床用PCD-CT の一般販売が開始されてから2 年経過した2024 年現在,その有用性についてはいまだ検証段階である。

我々の所属する広島大学では,キヤノンメディカルシステムズとの共同研究において新たなClinical Research PCD-CTの開発を進めている4)。本稿では,はじめに現状のEID-CTに不足している三つのポイントについて述べ,続いて医療用EID-CT とPCD-CT の仕組みおよび両者の画像を比較しながらPCD-CT の現状と今後期待することについて解説する。なお,PCD-CT の一般的な原理や特徴,および期待される事項の解説については,本特集の他の記事に委ねる。

 

光拡散フリー透明シンチレータDIFRAS を用いた広視野・高解像度X 線画像検出器の開発

(公財)高輝度光科学研究センター,(国研)理化学研究所 亀島  敬
(国研)理化学研究所 初井 宇記

Development of Widefield High-spatial-resolution X-ray Imaging Detector Equipped with Photodiffusion-Free Transparent Scintillator DIFRAS
Japan Synchrotron Radiation Research Institute, RIKEN Takashi KAMESHIMA
RIKEN Takaki HATSUI

キーワード: シンチレータ,空間分解能,回折限界,ダメージフリー,X線画像検出器

 

はじめに
 我々は100 倍を超える輝度の向上と消費電力半減による安定運転を目標とした第4 世代光源SPring-8-II に向けた研究開発を行っている1)。光源性能を生かした計測を行う上で,X 線検出器の基礎的な性能であるダイナミックレンジ・フレームレート・空間分解能・視野・検出効率の向上が求められている。これらの要請に広く対応するため波及効果が大きなX 線画像検出器に着目し,X 線回折・散乱用の検出器CITIUS と透過X 線用の検出器Photodiffusion-Free Transparent Scintillator 検出器(DIFRAS)2),3)の研究開発を進めている。本稿ではレンズ結像型X 線画像検出器DIFRAS について過去の記事内容4),5)を含めて紹介する。

X 線を利用した計測ではX 線を試料に照射し,そこから生じる透過X 線・散乱X 線・蛍光X 線等の信号を測定することで試料の情報を得る。これらの信号を測定する役割を持つX線検出器はX 線計測分野において必要不可欠な要素である。特にX 線画像検出器は広範囲の空間分布情報を持つX 線信号を一つの画像として同タイミングで得ることができる。その高い汎用性と得られる情報量の大きさから,数多くの実験や装置で採用されている。

回折X 線のような角度を持って発散するX 線信号は,試料から一定の距離を置き空間的に拡大してから撮像するケースが多いので,検出器の解像度に対する要求は比較的小さい。一方で,X 線CT などの試料のX 線透過像を計測するアプリケーションにおいては,X 線画像検出器の解像力はデータの精度を決める重要なパラメータとなる。放射光の指向性の高いX 線透過像を高い解像度で取得する場合,シンチレータでX 線を可視光に変換し,これをレンズで拡大して撮像するレンズ結像方式の間接変換型X 線画像検出器を一般的に用いる。この撮像方式は,シンチレータを薄くしてピントがずれたデフォーカス成分を除去することで,レンズが持つ開口数NAとシンチレータ発光波長で定まる回折限界近くまで解像力を高めることができる6)。例えば,シンチレータを支持基板に接着剤で接合し,10 μm 程度まで薄く研磨することで1 μm を超える空間分解能を持つ画像を得ることが可能となる7)。しかし,この薄膜化の手法はX 線による損傷で接合層の光学特性が劣化し可視光の画像が滲んでしまうため,レンズが持つ理論限界に近い解像力を得られないという課題があった8)。また,必要とされる視野サイズは,SPring-8 で等倍撮像する条件下において,プローブであるX 線ビームサイズと同程度の数mm ~数十mm である。これに対して,1 μm の空間分解能を持つ光学構成とした時の視野サイズは1 mm 程度が限度となりビームサイズに対し視野サイズが不足する。これは空間分解能であるエアリーディスク半径1 μm をサンプリング数を2 以上(0.5 μm 画素以下)で解像する必要があること,利用できる科学計測用CMOS イメージセンサの最高解像度2 k × 2 k に制限されていることから1000 以上の空間分解能・視野比を得ることができないためである。以上の理由から,X 線画像検出器の空間分解能の向上および,その空間分解能と広視野を両立できる技術が望まれている。本稿では,回折限界性能に近い空間分解能を得るための手法並びに,高感度化・高解像度化を目的としたシンチレータ光学系の最適化と,14 k × 11 k 画素の高解像度CMOS イメージセンサを導入した広視野・高解像度レンズ結像型X 線画像検出器の開発について紹介する。

 

SOIPIX 検出器「INTPIX4NA」を用いた高速・高感度・高解像特性半導体X 線カメラの開発

高エネルギー加速器研究機構 西村龍太郎

Development of a High-speed, High-sensitivity, High-sharpness X-ray Camera Using the SOIPIX Semiconductor Detector Named “INTPIX4NA”
High Energy Accelerator Research Organization Ryutaro NISHIMURA

キーワード: 非破壊検査,X 線,X線検出器,可視化,画像処理

 

はじめに
 X 線イメージングは,試料の内部構造を破壊することなく評価するための有力な手法の一つであり,医療機関における画像診断や工業製品の検査,医学・生物学・物性等における最先端の研究に至るまで,多様な応用を加えられながら幅広い分野で用いられている。著者の所属する放射光実験施設(Photon Factory,PF)においても,X 線イメージングは主要な実験手法の一つとして,放射光ならではの高い強度,エネルギー選択の自由度の高さ,高コヒーレンスな光が利用可能であること等を生かした発展的なX 線イメージング実験が行われている。これらの発展的な実験においてはその目的に応じて検出器にも多様かつ高度な要求が課されることが多く,単独の検出器でそれらの要求を満たすことは事実上不可能である。その代わりとして,必要に応じて目的・要求を満たす検出器を選定,もしくは開発することになるが,本稿において解説するSOIPIX 検出器1)INTPIX4NA 2)もそのような検出器の一つである。本稿では,2023 年12 月にカナダ・バンクーバーで行われた国際会議HSTD13 での,INTPIX4NA を用いたX 線カメラに関する発表内容3)を基に,SOIPIX 検出器の概要及びINTPIX4NA 検出器の特徴,X 線イメージングへの利用に向けた性能評価と今後について解説する。

 

放射光を利用した時間分解能ミリ秒オーダーのX 線CT の開発

東北大学 矢代  航

Development of X-ray Computed Tomography with Temporal Resolution on the Order of Milliseconds using Synchrotron Radiation
Tohoku University Wataru YASHIRO

キーワード: X 線,CT,イメージング,放射光,干渉計

 

はじめに
 我々が生きている三次元+時間の4D 世界の日常生活は,一期一会の非平衡現象に満ちている。そして,高空間分解能・高時間分解能の時空間領域は,今なお先人未踏の未開拓領域である。筆者らは,この未開拓領域を開拓するため,近年,世界に先駆けて,ミリ秒オーダー時間分解能,10 μm 前後の空間分解能のX 線CT を開発した。本稿では,筆者らの世界最高時空間分解能のX 線CT がいかに実現できたか,その原理を通して解説するとともに,その応用例について紹介する。

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