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機関誌

2005年度バックナンバー巻頭言5月

2005年5月1日更新

巻頭言

「非破壊検査技術の保守検査への適用例?」の刊行にあたって

 

現在の装置産業において,安全の確保が必須となっている。いったんトラブルが発生すると,装置の停止のみだけでなく,製品の生産ができなくなり,我々の日 常生活まで大きな影響を及ぼしてくる。特に,石油精製,石油化学プラント,原子力および電力等では,社会的に大きな影響が出てくる。
 しかし,最近,石油精製及び石油化学会社等で,機器及び配管等のトラブルが頻繁に発生している。最近の事故件数の増大の原因については,いくつか考えら れるが,先ず,設備の老朽化が顕在化していると考えられる。また,老朽化設備に対して,十分な技術的対応ができていないのも事実である。現在,設備の検 査・補修等の保全作業の大部分が経年劣化への対応である。今後,経年劣化対策の体系化が望まれると共に,老朽化設備を非破壊検査等の力で,保守管理し,補 強していくのが,我々の責務と考える。そのためには,我々自身が,非破壊検査にて,機器・配管等の欠陥を如何に正確に高精度に検出することができるかにか かってくる。
 そこで,近年,欠陥の高精度測定について,かなり検討され始めてきた。例えば,本誌「非破壊検査」Vol. 55,No.8 Aug. 2006,p.365〜p.369 「超音波探傷試験の活動報告と今後の展望」において紹介されているように,原子炉の検査に関して,2006年,当協会が中心になって関係諸団体と連携して PD(パフォーマンス デモンストレーション)認証制度を立ち上げた。このPD認証制度では,構造物の欠陥検出はもとより,検出が難しい上に進展性の危険が大きいSCC(応力腐 食割れ)の高さ寸法を正確に測定・評価することを求めており,今後の非破壊検査の在り方を変えていく重要な制度である。また,本協会及び分科会でも,発電 機器の検査を中心に,SCC等を含む実機欠陥のサイジング技術と共に,検査員や規格の判定基準等が議論されている。例えば,?超音波探傷試験検査員の欠陥 測定結果について,?維持規格における欠陥評価とPD認証制度導入の意義,?原子力発電プラントのSUS配管溶接継手に対するUTシステムのPD認証につ いて,?オーステナイト系ステンレス鋼溶接部の欠陥サイジングにクリーピング波法の適用,?TOFD法による欠陥高さ測定手順とその有効性,?端部エコー 法による溶接部のきず高さ,スリット及び溝の高さ測定に関する実験的検討,?フェイズドアレイ測定を用いたニッケル基合金溶接部における超音波探傷試験の 欠陥検出結果について,等多数である。このような現状において,ますます非破壊検査が重要となってくる。つまり,「保守検査」は,装置産業において,設備 の信頼性の確保に不可欠な技術となっている。
 本特集は,第1弾(第49巻3月号),第2弾(第50巻6月号),第3弾(51巻10月号),第4弾(第52巻11月号)及び第5弾(第55巻3月号) にて企画した「非破壊検査技術の保守検査への適用例」シリーズの第6弾にあたる。今回は,AE法による地上タンクの保全管理,高耐熱AEセンサーの開発, 配管・機器設備の腐食検査技術,水撃波による水道管の劣化診断及びSLOFECによるタンク底板の検査について,企画したものである。解説記事の5件と も,読者に分かり易く解説されている。本特集号が,読者のご参考となれば幸いである。

*(特集号編集委員 四辻美年)

 

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