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機関誌

2004年度バックナンバー巻頭言6月

2004年6月1日更新

このページの目次

解説 技術者のための知的財産権

知財を取り巻く環境その1 ―「知的財産立国日本」の戦略(なぜ今,知財か)―
   弁理士 広瀬 文彦 広瀬国際特許事務所


2002年の初頭に小泉内閣は『知財立国』を日本の経済再生の御旗として掲げることを鮮明にした。知的財産による立国とは,簡単に言うと日本の技術(特 許)やコンテンツ(アニメやゲーム)について日本のみならず外国においても独占権(特許権や著作権)を確立して,各国の利用者からロイヤリティを徴収して 日本国の繁栄存立の基礎としようとする考え方である。単に『知財立国』と言っても一般には判り難いので噛み砕いて説明する必要がある。
 日本は従来から他人の(特に欧米の)技術先進国で開発された基礎技術を高額で借りてロイヤリティを払い,それに手を加え,さらに応用技術を独自で開発し て付加価値のある工業製品を大量に生産してこれを世界に輸出して国の繁栄を支えてきた。昔の教科書にあったパターンの原料を輸入して製品にして輸出する加 工貿易と同じように,技術についても基礎技術は輸入して周辺技術を付加して高価値な製品を世界に輸出して国を繁栄に導いていた。しかし,この技術の加工貿 易も,アジアの周辺国の工業力・開発力の向上により,立場があやしくなって来た。また,安価な労働力の供給等を考慮すると最早,迫り来る中進国には対抗で きなくなりつつある。経済に活力を欠く日本の現状を打破する方策の一つとして,近未来にも通用する恒久的な経済発展が見込める打開策が必要となった。そこ で,今後は日本国内の高度に発達した技術そのものや文化を直接に輸出の対象としようとする構想が導入されることになり,『知財立国』の宣言となった。
 この政策は日本で創作された思想ではなく,またもや基本思想の輸入である。当時は赤字にあえいでいたアメリカで『プロ・パテント政策』としてヤング氏に よって声高に主張され,1990年代に実効が出て来た政策である。この政策は技術で繁栄するためにはパテント制度が大事であり,世界各国にパテント制度を 確立し,制度の適切な運用を求めて,最終的には技術を開発した国にその利益が還元されるという政策である。今ではIT関連産業を筆頭に大成功を納めた戦略 と評価されており,アメリアの財政再建および更なる発展に充分に寄与したと評価されている。日本は経済停滞の打開策として遅ればせながら二匹目のドジョウ を狙うような格好となっている。
小泉内閣は,2002年7月に「知的財産戦略大綱」を策定し,「知的財産戦略推進計画」を発表した。また同年12月には「知的財産基本法」を成立させ,そ の意気込みが感じられる。さらに,司法制度改革も加えてその後も審査促進を始めとする改革案が次々に提出され,2003年末には知財高裁の構想の概要も具 体化しつつある。
 では,何故,今頃になって,知財かと言えば,これまでの日本の知財保護制度では,今後は外国に太刀打ちできないという危機意識が芽生えた結果である。また,知財を活用することにより低迷を続ける経済を救うことが出来るのではないかという発想の転換もある。
 従来の特許制度は,国内産業の振興のために知財に独占権を与えていた。要するに国内の産業振興手段としての産業立法の域を出ないものであった。全体の認 識も他国の特許制度とか,知的財産による日本国の収支とか技術立国のような視点は知財制度には全く欠けていたと言わざるを得ない。単に,民間企業が発展す れば派生的に国全体の産業も振興するというだけの考えで制度が作られていた。確かに80年代までは順調に国内産業は発展し,世界に伍する実力を備えてき た。
 しかし,一本調子の発展には陰りが出た上に,自助努力では回復する見込みさえ無くなっている。民間企業の努力のみならず国の研究機関や国立大学の研究成 果も具体的に我が国産業の発展に直結・寄与させることが必要とされる。また,従来の縦割り行政から脱却して国際的に通用する知財制度を確立し,従来の視野 から脱却して,他国からも評価されて,積極的に利用されるような知財制度を確立することが要求されている。日本全体の産業を再度振興させる国際的な戦略が 必要となった。
 一方,知財制度の整備されていない周辺国の産業の発展は目覚ましいものがあり,技術を供与している日本に迫ろうとする勢いである。現実に日本の国内産業 は重大な影響を受けているのが実情である。これらの国々に知財の概念を納得させることは,容易なことではない。アメリカも中国をWTOのメンバーに取り込 むことにより,知財秩序の確立を目指している。

 

 

知財を取り巻く環境その2 ―企業経営と知財―
  弁理士 丸島 儀一 丸島特許事務所

[経営資産としての知財]
 知財立国を目指すわが国で求められるこれからの企業は物作りから知恵造りへの転換,即ち知恵のたくさん入った商品やサービスを創造し,知的財産で事業の優位性を確保できる事業を行う企業だといえる。
 「知的財産推進計画」の実行が知財立国に相応しく産業競争力強化に向けて完結された場合には知的財産の創造,保護,活用の環境が格段と改善され,知的財産の価値が相当高くなり,知的財産を尊重する環境が形成される。
 知的財産を尊重する環境とは,他人の知的財産を侵害したら大変になるという抑止力が働くことで,第一に侵害したら直ぐに判ってしまうこと,第二に損害賠 償額が高いこと,第三に侵害したら事業が直ぐ差し止められること,が可能な状況が形成されていることである。このような時代には知的財産は事業競争力を強 くする強力な武器になり経営資産として最も重要な意味を持つ資産となる。知的財産の尊重とは自己の知的財産を第三者に尊重してもらうと同時に第三者の知的 財産を自分が尊重することを意味する。その意味では知的財産は事業運営の強力な武器であり,脅威でもある。従って,事業運営に当たっては攻撃と防御の両面 が必要になる。
 本来,研究開発,生産,販売,サービスを業とする企業において,理想としては知的財産を活用して事業を独占し事業利益を得ることである。しかし,現実に は事業を構成する技術の全てを自前で研究開発するわけではなく,第三者の知的財産の影響等により事業そのものを独占することは難しい。そこで事業の核とな る技術を可能な限り独占し事業の優位性を確保することを主眼とし,第三者の知的財産で影響される部分を解消するために必要な,或いは優位性確保に影響のな い範囲での自己の知的財産の活用,(例えばクロスライセンス)が重要となる。
 知的財産の活用はあくまでも事業利益を最大にするために活用すべきである。若し,ライセンス収入を得るために,事業に関連する知的財産を積極的にライセ ンスしても事業に影響が無いとしたら,もはやその事業は優位性も競争力もなく魅力のない事業を意味する。もちろん,資産として知的財産を積極的に譲渡若し くはライセンスして収益を得る場合もある。例えば,研究開発成果と共に知的財産を譲渡或いはライセンスすることを事業とする研究開発型ベンチャーの場合, マーケットサイズが合わないため研究開発成果と共に知的財産を処分する場合,或いは廃止した事業に関する知的財産を処分する場合等がある。

 

 

発明などの保護その1 ―発明・考案の保護(特許・実用新案)―
   弁理士 高橋 良文 ウィルフォート国際特許事務所

1. まえがき 特許制度
 特許制度は,新たな技術(発明)を生みだした者(発明者)に対し,その技術を公開する代償として一定期間その発明の実施を独占する権利を与えることによ り,技術の進歩を通じて我が国の産業の発達に寄与することを目的として設けられた制度である。以下に,特許制度の具体的な内容について,実務家としての立 場から実務的に重要な点を中心に解説する。

 

 

発明などの保護その2 ―特許情報の利用と特許訴訟―
    弁理士 恩田 博宣 (業)オンダ国際特許事務所


1. まえがき
 特許権,とりわけ特許請求の範囲の法的性格について述べ,侵害訴訟については特許権侵害訴訟の一般的な進行について述べる。また,鑑定事項として非破壊検査があるケースを想定して見ることとする。

 

デザイン・商標の保護その2 ―商標の保護(商標法・不正競争防止法2条1項1, 2号)―
   弁理士 古関  宏 古関特許事務所


1. 商標制度の概要
1.1  商標
 「商標」とは,商標を使用する者が,自己の商品やサービスを同種の商品・サービスから区別するために使用するもの,言わば,商品やサービスの目印である。
 一般に,商標を構成するのは,文字や図形等,平面に表されたものである。しかし,これらの文字や図形であっても,商品やサービスを区別するために使用し なければ商標とは言えない。例えば,ジャンパーの背の部分に「BOSS」と表示しても,それはジャンバーの商標ではなく,コーヒー飲料の広告として使用さ れているに過ぎない。
 また,平面に表されたものだけではなく,立体的な形状も商標となる場合がある。
 例えば,「菓子」について,不二家の「ペコちゃん人形」や,「飲食物の提供」についてケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース人形」等である。

 

 

デザイン・商標の保護その3 ―水際取り締まり―
   弁理士 三嶋 景治 三嶋特許事務所


1. まえがき 

「水際取り締まり」である輸入差止手続の実務
 海外から物を我が国へ輸入する場合を想定すると,その物の機能・性能からする技術や外面のデザイン或いはネーミングについて何等かの法的保護・規制があ る点を予め承知しておかなければならない。関税定率法21条1項5号で,我が国の特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・著作隣接権・育成者権・回 路配置利用権を侵害する物品が「輸入禁制品」として規定されており,税関長は,所定の手続(同条4項−認定手続)を経て,侵害品を没収廃棄したり,積み戻 しを命ずることができる。
 所定の手続とは,その貨物(疑義貨物)が侵害品に該当するか否かを認定する手続である。税関長は,自らの判断若しくは以下に述べる「輸入差止申立」「輸 入差止情報提供」による情報提供により知的財産権侵害があると思料するときは,認定手続を執る必要がある。即ち,貨物を輸入する場合は,関税法第6章で一 連の輸入手続が定められており,一旦保税地域に入れて,税関に輸入申告をし検査を受け,税金を納付して輸入する。税関の検査のとき知的財産権を侵害してい るものと思料した場合認定手続を執らなければならない。税関において侵害疑義物品を発見したときは,見本を採取した上,速やかに知的財産調査官(担当官) へ認定依頼書にて依頼し認定手続処理を行う。尚侵害の概念は,関税定率法には規定がなく知的財産権の各法律の中での「侵害」の認定判断となる。
 税関での職権で行う輸入差止の手続以外で認定手続の端緒として申立手続がある。

 

 

エンジニアのための著作権入門
   弁理士 小西 恵 三好内外国特許事務所弁理士 金井 英幸 金井国際特許事務所
   弁理士 岡戸 昭佳 コスモス特許事務所 弁理士 中川 裕幸 中川国際特許事務所


1. はじめに
 著作権制度は,沿革的には,小説,音楽,絵画,彫刻などのような文化的所産(芸術作品)を創作した者を保護するために生まれた制度である。東山魁夷の絵 画が著作権で保護されることはおそらく誰でも知っている。しかし,著作権として保護されるものは,何もこうした芸術的作品ばかりではない。エンジニアの身 の回りにも,著作権で保護される著作物はいたるところにある。著作権法は,人間の知的創作から生じる表現を幅広く保護し,著作物の公表または著作者の死後 50年間という相当長い保護期間を与えている。つまり,エンジニアが創作したり,創作に関与したりする,研究論文,実験レポート,プレゼンテーション資 料,製品の説明文や写真・イラスト,製品のプロモーションビデオ,コンピュータ・プログラムなどは,いずれも著作権によって保護される著作物となる。ただ し,著作権は,これらが印刷・プリントアウトされた紙やDVDなどの記録媒体などの有体物に対して認められる権利ではなく,あくまで創作者の創作的表現と いう無体のものを保護する権利である。著作権が,特許権,意匠権,商標権などと並び,知的財産権(無体財産権)と呼ばれるのはこのためであり,有体物の所 有権が移転したからといって,著作権も当然に移転するわけではない。

 

 

特許係争と最近のトピックス
   秋山  敦 秋山国際特許商標事務所


Patent Litigation and Recent Topics Atsushi AKIYAMA Akiyama & Associates
キーワード 特許係争,侵害警告,発明報酬


1. はじめに
 特許戦略のなかで,権利獲得や権利行使の最終段階に特許係争がある。特許係争は極めて経営的な課題である。「経営戦略」と「特許戦略」(ここでは「知的 財産戦略」といわず,特許戦略のことばを使用する)と「研究・開発戦略」(本来「研究」と「開発」は別だが,ここでは一緒にする)は,三位一体であるべき ものである1)。経営戦略に組み込まれていない特許戦略は,本質的に意味を持たない。従って,特許係争は,各企業の持つ特許戦略に基づくことが重要であ り,各企業(組織)ごとにその係争のあり方,考え方,方針などが異なる。ここでは,一般的な特許係争の種類や内容を説明し,次に経営的な視点を加えて特許 侵害警告への対処法について説明し,合わせて係争に関する最近のトピックスを紹介する。

 

 

連載講座 非破壊検査技術の動向

材質劣化の非破壊評価
   横野 泰和 非破壊検査(株) 技術本部技術監理室室長

Nondestructive Evaluation of Material Deterioration
Yoshikazu YOKONO Non-destructive Inspection Co.,Ltd.
キーワード 材料劣化損傷,材質劣化,非破壊評価,放射線,超音波,電磁気



1. はじめに
 この連載講座の第4回目を担当するに当たって,「材質劣化の非破壊評価」という命題を頂いた。ここで「材質劣化」とは何かと考えたとき,この他に「損 傷」「劣化損傷」という言葉が浮かんでくる。JIS Z 2300:2003によれば,「劣化」とは「材料や製品が,応力,熱,光などの使用環境によって,次第に本来の機能に有害な変化を起こすこと。」と,「損 傷」とは「使用環境によって,物理的性質に永久変化が起こって性質が低下すること。」と定義されている。現状では,さほど厳密に使い分けられているとは言 い難いが,ミクロ的変化によって材料が強度低下することを「劣化」と称し,材料が減肉や割れなどのマクロ的変化を起こす現象を「損傷」と表現する場合が多 い。
 この連載講座では,「非破壊検査の多様化」からスタートして「内部きず」及び「表面きず」に対する新検査技術の解説があったが,今回の対象はマクロ的な きずではなく,材料の機械的性質に影響を及ぼすミクロ的な変化すなわち「材質劣化」を対象としている。本誌では,1997年の3月号(第46巻第3号)に 「材料劣化診断」の特集号が発刊されており1)−7),それ以外にも関連した解説記事が掲載されている7)−10)。それらの内容も参考にしながら本稿を 見て頂くとさらに理解が深まることと思われる。

 

 

論文

溶接部の漏洩磁束探傷試験に及ぼすHAZの影響
   植竹 一蔵/長井  寿

nfluence of HAZ on Magnetic Flux Leakage Testing in Weld Zone
Ichizo UETAKE* and Kotobu NAGAI*
Abstract
Maintenance inspection of a steel structure hopes for high accuracy quantitative evaluation to the detected crack. If the magnetic flux leakage testing (MFLT) method that enables quantitative evaluation can be applied to detect and evaluate a surface crack in a weld, it will improve the reliability of the inspection. However, application of the MFLT method to a weld has encountered various problems such as the existence of weld reinforcement, the ease of the probe operation, and the change of material in the weld zone. This paper deals with the influence of the heat-affected zone (HAZ) among these problems. Artificial slits were machined in the weld zone that deleted the weld reinforcement. The influence of HAZ was shown clearly in the examination, and a method to eliminate this influence was investigated.
Key Words Nondestructive testing, Magnetic flux leakage testing, Leakage flux, Steel plate,Magnetic property, Slit size, Weld zone, Heat-affected zone



1. はじめに
 近年,原子力設備や圧力機器設備等の保守検査においては,報告された割れに対し,その検出箇所,寸法及び割れ周辺の使用環境等を考慮し,現段階でこれら の割れが緊急に問題を生じることがないと判断された場合,検出された割れをそのまま放置してもよい,という維持基準が適用されるようになった1)。割れが 検出されれば設備の運転は即座に中止となる従来の対応が見直され,緊急度の低い割れの検出に対してはその後の成長度合いを監視し,安全率を考慮した適切な 対応を図ることができるようになった。このような評価基準に対して重要となってくるのは,検出した割れの寸法測定精度である2)。この寸法測定の精度に よっては,大きな割れに対する対応が遅れて危険を招くことも考えられる。特に,設備類の表面割れは内部きずに比較して応力集中が大きいことから,精度の高 い寸法測定が必要である。
 これらの鋼構造物の多くは溶接が適用されており,鋼構造物を構成する上で,溶接は必要不可欠の接合技術となっている。しかし,溶接による接合部は形状や 材質の変化を伴うため,溶接金属,熱影響部及びその近傍の母材部を含めた範囲で欠陥が発生しやすい。現状の保守検査における溶接構造物の表面探傷試験で は,浸透探傷試験(PT)法や磁粉探傷試験(MT)法が多く実施されているが,これらの手法は割れ深さの測定ができないという問題がある。そこで割れ深さ の測定が可能な電磁気的NDT手法,すなわち渦流探傷試験(ET)法や漏洩磁束探傷試験(MFLT)法の適用が考えられる。しかし,これらの電磁気的手法 は,形状が単純で,材質が一様な材料の探傷に適するが,溶接部のように形状変化や材質変化を伴う部分への適用は困難とされている。しかし,前述のように保 守検査における割れの定量的評価が望まれる現状において,MFLT法の適用による割れの検出と深さの測定が可能になれば,検査の信頼性向上に役立つと考え られる。
 溶接部に対するMFLT法の適用については,溶接管の自動探傷に適用された例3)があるが,溶接部の保守検査への適用報告例はない。溶接部の保守検査に 対するMFLT法の適用において問題となるのは,プローブの携帯性と操作性,溶接部の余盛の存在及び材質変化の影響等であろう4),5)。前者について は,試作プローブによって解決の見通しを得ている6)。そこで,ここでは後者の材質変化部である熱影響部が漏洩磁束に及ぼす影響について検討することと し,余盛を削除した溶接試験体の溶接線に平行なスリットを加工し,それに直交するようにプローブを走査したときの熱影響部の影響について検討を行った。

 

 

 

一様渦電流を用いた伝熱管渦流探傷用マルチバンクマルチコイルプローブ
   小井戸純司/小椋  学/星川  洋


Multi-Bank Multi-Coil Probe for Heat Exchanger Tube Eddy Current Test using Uniform Eddy Current
Junji KOIDO*, Manabu OGURA** and Hiroshi HOSHIKAWA*
Abstract

To enhance a wobbling noise reduction feature and 2D flaw resolution characteristic for tube eddy current ISI, the authors developed a new multi-bank multi-coil probe using uniform eddy current. The new probe has a large/long solenoid coil for excitation and small pancake pickup coils. The excitation coil induces a uniform eddy current that flows in a circumferential direction in the tube wall and the pickup coils are positioned in the area of the uniform eddy current. The self-differential feature makes the probe self-nulling and free of wobbling noise. The authors also developed a multi-bank probe that is constructed from four banks of coil. Each bank has eight pickup coils. All signals generated by the 32 pickup coils are integrated into a 2D defect signal just like a signal by an ordinary multi-coil probe. The multi-bank method allows easy establishment of a higher resolution multi-coil. The newly developed probe makes the tube test reliable with less noise and more information than a conventional multi-coil probe.
Key Words Eddy Current Test, Heat Exchanger Tube, Multi-Coil, Wobble Noise, Uniform Eddy Current



1. はじめに
 熱交換器や蒸気発生器などの保守検査では,伝熱管の渦流探傷試験が広く行われている。これらの構造物の一層厳しくなった安全基準を満たすためには,内挿 コイル渦流探傷試験の高精度化を図り,検査の信頼性を向上することが必要である。これに対し,微小きずの検出能力を高め,なおかつ渦流探傷の特徴である高 い探傷速度を維持するために,小径の上置コイルを検出コイルとして複数並べたマルチコイルを採用することが増えている1),2)。しかし,検出コイルを小 径とすると外面きずに対する感度が低下する。さらに,上置コイルは本質的にリフトオフ雑音が大きい。このため,上置コイルによるマルチコイルを採用した内 挿プローブではSN比が低下し,信頼性を向上できないことが問題となると考える。事実,筆者等は内挿コイルを採用した信号処理に関する研究において,試験 コイルとして,差動接続した複数の上置コイルを配置した相互誘導形差動方式のマルチコイルを開発し,採用した経験を有しているが,がた雑音が大きく,探傷 信号のSN比が低かったことを報告している3),4)。
 そこで,筆者等は内挿マルチコイルのがた雑音によるSN比の低下を軽減し,探傷性能を向上することを目的として,平板状の試験体に対して開発された一様 渦電流5),6)を利用した上置コイルを,伝熱管用の内挿マルチコイルに適用することを着想し,これを開発した。また,同時に,マルチコイルを高精度化す る方法として,マルチバンク方式を開発した7)。これは,複数の検出コイルをプローブの円周上に並べたものを一つのバンクとし,これを複数並べ,それらの 信号を合成して等価的に高精細度を有するマルチコイルを実現するものである。この,マルチバンク方式を一様渦電流内挿コイルに適用することにより,高精細 度を有し,SN比の高い内挿マルチコイルを構成することができると考える。
 本研究では,外径19mmの伝熱管を対象としてマルチバンク・マルチコイルを開発したが,これと合わせ,比較のために前述の差動方式マルチコイル,さら に,伝熱管の保守検査で広く用いられている自己誘導形自己比較方式内挿コイルの3種類の試験コイルを作製した。そして,人工きずを加工した非磁性管に対し てこれらのコイルによって探傷試験を行い,それぞれの信号のSN比を求めて検討したところ,一様渦電流を用いたマルチコイルによる信号のSN比が非常に高 いことを確認した。また,マルチバンク方式により,外径19mmの伝熱管に対して32チャンネルのマルチコイルを実現しており,これによって円周方向の情 報密度が大幅に向上することを確認した。

原稿受付:平成15年9月24日
 日本大学生産工学部(習志野市泉町1-2-1 )Nihon University
 日本大学大学院(現在:(株)アドックインターナショナル) ADOC INTERNATIONAL Co., Ltd.

 

資料

第14回ISO/TC135(非破壊試験)及び関連SC会議に出席して
   大岡 紀一 ISO委員会委員長((社)日本溶接協会参与)

Report on Meeting of the 14th ISO/TC135 and SCs
Norikazu OOKA The Japan Welding Engineering Socity, Senior Technial Advisor
キーワード ISO / TC 135,SC2,SC5,SC6,SC7,韓国会議


1. 概要
 第14回ISO/TC 135(非破壊試験)の関連SC及び総会が韓国済州島のオリエンタルホテルにおいて9ヶ国約40名の出席のもと2003年10月28日から4日間開催され た。SC2表面試験(7ヶ国,18名),SC5放射線試験(6ヶ国,12名),SC6漏れ試験(7ヶ国,14名)及びSC7技量認定(9ヶ国,23名)に 関する分科委員会(SC)が開かれ,日本から代表としての大岡紀一(元日本原子力研究所),藤岡和俊(発電技検),池田忠夫(東亜非破壊検査),加藤潔 (日本X線検査),田村芳一(日本アネルバ),津村俊二(タセト),緒方隆昌(川崎重工)の7名,更に各SCへはオブザーバとして,TC 135高木幹雄議長,羽田野甫セクレタリ,SC 6土屋武雄セクレタリが出席した。
 今回,SC3音響試験及びSC4渦流試験の両分科委員会については開催されなかった。なお,SC 8(サーモグラフィ試験)については,新たな議長を選出中である。

第14回ISO/TC135(非破壊試験)及び関連SC会議
第14回ISO/TC135(非破壊試験)及び関連SC会議 

 

 

 

 

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