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機関誌

2007年度バックナンバー巻頭言2月

2007年2月1日更新

巻頭言

「コンクリート構造物への非破壊検査の展開 」の特集にあたって  野崎 喜嗣

 コンクリート構造物の非破壊試験特別研究委員会(通称RC特研)は,平成元年(1988)4月に設立,活動の目的,方針の要点は,RCの非破壊試験に関す る講演,討議をとうして,情報交換と関係技術者の相互研鑽の機会を作ると記されています1)。以来,年間3〜4回の研究委員会,資料の作成・配布を積み重 ね,平成15年7月,第1回のシンポジウム開催に至りました。『コンクリート構造物の非破壊検査の期待』と題し,会場は日大理工学部駿河台校舎,講演論文 64題,2日間で延べ217名が参加し,大盛況でありました。
 以来3年,わずか3年ですが,その間社会情勢などに大きな変化がありました。1つは,「姉歯問題」として全国に報道された建築構造の耐震偽装問題,次 は,国交省によるコンクリート構造物の建設に際する科学的な管理手法の試行的導入,先端技術などを利用した測定機器類の進歩や,LCAといった環境負荷低 減の目的で余寿命ある建物の用途変更・再利用(コンバージョン)の前提としての耐力診断などを背景に,非破壊試験の確立は,重要な課題となっています。ま た集合住宅をはじめ,生活の拠点としての建物の耐力,耐震,劣化状態の確認・把握に,非破壊検査法に大きな期待が寄せられています。
 しかし非破壊検査による評価は誤差を伴うため,必ずしも十分な信頼を得られていないのが現状です。JSNDIは,様々な分野の研究者・技術者が1つの テーブルを囲んで意見を交換できる機関であり,非破壊検査の普及と信頼性の確立に中心となって貢献すると信じています。
 本年(平成18年)8月1,2日に第2回シンポジウム;『コンクリート構造物への非破壊検査の展開』が開催されました。会場は前回と同じ日大理工学部駿 河台校舎,講演論文92件,参加者数は述べ380名でありました。一般講演は,第1回の場合に比べ,新手法の紹介と並行して基本的物性からの検討が増加し たようです。また特別講演2題,単位水量管理に関するPDおよび新たに制定されたNDISの紹介が行われました。
 本特集号は,このシンポジウムの記録として,その準備段階から,論文の審査状況を始め,講演会の全体を紹介しました。RC構造物の非破壊検査法実用化の 研究開発が,今後さらに大きく飛躍するためのマイルストーンとして,また今回は参加いただけなかった読者の皆様にもお読みいただき,ご意見を賜りたいと 願っています。

1) 笠井芳夫:鉄筋コンクリート構造物の非破壊検査特別研究 委員会の生い立ちとシンポジウムへの期待,第1回シンポ  ジウム論文集,非破壊検査協会,(2003.7)
武蔵工業大学(158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1)工学部建築学科助教授早稲田大学理工学部卒,同大学院修了,博士(工学)。建築材料・工法,および構造体コンクリートの品質評価,などに関する教育・研究に従事。大学では  写真部顧問 <趣味>旅行(文化にふれること),落語鑑賞

 

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