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機関誌

2006年度バックナンバー巻頭言2月

2006年2月1日更新

このページの目次

機関誌「非破壊検査」 バックナンバー 2006年2月度

巻頭言

「最近の漏れ試験方法の紹介」特集号刊行にあたって  津村 俊二

 本特集「最近の漏れ試験方法の紹介」はここ数年の漏れ試験方法の新しい技術,規格などをまとめて紹介したものです。最近の漏れ試験技術の地道な成果の現れであり,ご協力いただいた関係者に対し厚く御礼を述べたいと思います。
 漏れ試験は製品の品質・安全性確保などに不可欠の技術ですが,わが国では最近まで欧米に比べその技術確立や規格化等がかなり遅れておりました。それを危 惧された故石井勇五郎氏(東京工業大学)の提唱により1978年研究会が発足,WG漏洩研究委員会,317漏れ試験研究委員会を経て現在に至るまで,関係 者のご努力で漏れ関連技術の確立と普及が進み,規格も充実されてきております。国際的にも日本は現在,ISO / TC135 / SC6(漏れ試験)の幹事国であり,用語規格の提出,昨年秋のJIS Z 2330(ヘリウム漏れ試験方法)のISO規格化の提案など積極的な活動を行なっています。
 さて,本特集で掲載させていただいた漏れ試験方法の7件は,それぞれ原理も検出する対象や利用法も大きく異なっています。前半の3件は最近新しく開発さ れた漏れ試験技術です。「水素+窒素ガスを用いた漏れ試験について」は,次世代の燃料として注目をあびている水素を利用したものでものであり,また, 「レーザおよび赤外線カメラを用いたガスの漏えい検知方法」は,ガスの可視化技術で将来的な監視分野として興味深い報告であります。「浸透硬化型漏れ検査 剤の開発と適用」は,漏れの検出だけでなく,検出限界以下の漏れ封止,補修剤分野にまで領域を広げた新しい試みといえます。後半の3件は規格関連であり, 最近新たに規格化,又は改定された規格の紹介です。「NDIS3423 蛍光染料及び現像剤を使用した液体漏れ試験方法の紹介」は液体の漏れを高感度に検 出する方法を初めて規格化したものです。また,「JIS Z 2333 アンモニア漏れ試験方法の改正内容の紹介」は簡易的に液体を使用する方法などを取り入れた内容,「JIS Z 2329 発泡漏れ試験方法の解説と改正内容の紹介」は発泡液の腐食試験を追加するなどの改定内容と検出限界などの解説となっています。なお,今回の特集 には掲載されておりませんが,規格関連としては「JIS Z 2331 ヘリウム漏れ試験方法」が大気校正法も入れた実用的内容に2006年改正予定で進行中となっています。
 以上,今回の特集が実際の現場での漏れ試験の技術の向上,普及に役立つことを期待したいと思います。
 なお,漏れ試験につきましては,産業界で安全,品質管理などの点で益々重要となってくるため,講習会を初めとした教育,テキスト,将来的には認定制度の 導入などが不可欠となってくると思われます。漏れ研究委員会としてもそれらを念頭に置いた活動を積極的に進めたいと思いますので,ご協力よろしくお願い致 します。

*漏れ試験研究委員会委員長 (株)タセト(242-0022 神奈川県大和市柳橋5-13-13) 化学品統括部 部長
1974年日本油脂入社,主に探傷剤(浸透,磁気,発泡漏れ,液体漏れ等)及び溶接関連ケミカル品の開発業務に従事。2000年に(株)タセトに転籍。
(趣味)テニス,つり http://www.taseto.com

 

解説 最近の漏れ試験方法の紹介

水素+窒素ガスを用いた漏れ試験について
   松原 紀之 (株)エフアンドエーテクノロジー  クレス ニランダー  フレデリック エンクウイ センシスターテクノロジー

Leak Testing using Hydrogen Gas and Nitrogen Gas Noriyuki MATSUBARA F & A Technology Co.,Ltd.,
Claes NYLANDER and Fredrik ENQUIST Senister Technologies AB キーワード 漏れ,漏れ検査,水素ガス検知,リークテスター,漏れ試験,漏れ検査装置



1. はじめに
 自動車・空調製造業界では,各製造工程で漏れ試験が実施されており,水没法,圧力法及びトレーサガス法(ヘリウムガス,ハロゲンガスetc)等の漏れ試 験が多く用いられている。一方,更なる簡便な方法・精度向上した方法,及びコストダウンした方法が要求されている。
 最近,新しい方法として安全で環境を汚さない水素ガス5%窒素ガス95%の工業用混合ガスをトレーサガスとして用いる水素法漏れ試験が,製造業界のみならず保守検査業界にも使用されている。
 以下に,本方式の特徴及び適用について紹介する。

 

 

レーザおよび赤外線カメラを用いたガス漏えい検知方法
    佐野  尊/竹花 立美 高圧ガス保安協会   関根 和喜 横浜国立大学

A Method of Gas Leak Detection Using Laser and IR Camera Takeru SANO, Tatsumi TAKEHANA The High Pressure Gas Safety Institute of Japan
and Kazuyoshi SEKINE Yokohama National University
キーワード レーザ,赤外線カメラ,漏えい検知,可視化,LPガス

1. はじめに
 今日,メタン,プロパン等の炭化水素および水素,酸素等のガスは,我々の日常生活の様々なところで利用されている。これらのガスを安全に利用するために は,ガスが漏えいした時に即座に検知できる必要がある。ガスは目に見えないため,ガスセンサ,付臭ガスの添加等により検知する方法が一般的にとられてい る。しかし,これらの検知方法は,漏えいガスがガスセンサまたは人間の鼻の位置まで拡散しなければ検知できず,その結果,ガス検知に時間がかかる場合もあ る。もし,漏えいガスを可視化することができれば,即座に漏えい箇所の特定が可能となり安全性を大きく向上させることができる。このため,近年漏えい検知 方法として,赤外線光源(レーザ)および赤外線カメラを使用して,ガスの可視化に関する研究が行われ始めている1),2)。
 本解説は,レーザおよび赤外線カメラを用いて,ガス漏えいを可視化する漏えい検知方法の原理について説明する。さらに,LPガス(主成分:プロパン)の 漏えい検知システムの構成2)を例として,使用する機器等について簡潔な説明を加えた。本漏えい検知方法の適用により,ガスの漏えいを視覚により検知する ことが可能となり,安全性の更なる向上が期待される。

 

 

浸透硬化型漏れ検査剤の開発と適用
   谷   峰/中野 幹夫/津村 俊二 (株)タセト

Development and Application of Self-cured Penetrant for Leak Testing
GU Feng,Mikio NAKANO and Shunji TSUMURA TASETO CO., Ltd.
キーワード 漏れ検査剤,浸透液,蛍光,赤色,補修剤

1. はじめに
 浸透硬化型漏れ検査法は,蛍光又は赤色の浸透性の良い浸透液を使用前に(硬化剤を添加)試験体の一方面に塗布後,塗布した反対側面を観察することにより 貫通欠陥を検出するとともに,検査後は欠陥内部で浸透液を重合硬化させて,貫通個所を封止するものである。なお検出された貫通個所のうち,強度的に問題と なる大きな欠陥については,溶接などの補修処理を適用するが,比較的軽度な小欠陥は浸透液が欠陥内で硬化することにより漏れ個所への封止対策を実施するこ とができる。さらに,従来の漏れ試験法(発泡漏れ試験や液体漏れ試験)において検出限界以下の微細欠陥や見落しの多い小欠陥の漏れ個所も確実に封止する特 徴を有する。本方法が今後の探傷分野の一方向として参考になれば幸いである。

 

NDIS3423「蛍光染料及び現像剤を使用した液体漏れ試験方法」の紹介
    津村 俊二 (株)タセト   田口 哲夫 元(株)日立製作所,現(有)ホープコンサルティング

Introduction of NDIS3423 Method for Liquid Leak Testing
by Fluorescent Dye and Developer
Syunji TSUMURA TASETO CO., Ltd. and Tetsuo TAGUCHI Hope Consulting,Inc.
キーワード NDIS3423,液体漏れ試験,蛍光染料,現像法,漏れ指示模様

1. はじめに
 平成16年秋,NDIS3423「蛍光染料及び現像剤を使用した液体漏れ試験方法」が新たに規格化された。従来から液体の漏れ試験は,容器や配管の製作 時の水張り試験,水圧試験,稼働中の水や油の漏れ等の検査に広く実施されているが,漏れ指示の確認方法が目視のみによるため,微少漏れの場合は検出が出来 なかったり,また条件によっては見落としが避けられない状況にあった。近年,各工業分野で高性能,高品質化が進み,液体漏れ試験においても高感度,高精度 の検出要求が高まっているため,微少な漏れ指示の目視確認精度を向上させるための方法を新たに規格化したものである。技術的には,試験媒体である液体(水 又は油)に蛍光染料を添加する方法や,試験媒体(水又は油)を毛細管現象の応用で吸出し,白地に赤や蛍光などの鮮明な指示模様を形成させる現像法などを含 んだ内容となっている。今後,容器や配管の製作時の水張り試験,水圧試験,稼動中の水や油の微小漏れ検査法としてこの規格が広く利用されることを期待す る。

 

 

JIS Z 2333「アンモニア漏れ試験方法」の改正内容の紹介
    田口 哲夫 元(株)日立製作所,現(有)ホープコンサルティング  池田 幹雄 タイホー工業(株)中央研究所

Introduction of Revision for JIS Z 2333 Test Method for Leaks using
Ammonia Gas
Tetsuo TAGUCHI Hope Consulting, Inc. and Mikio IKEDA Taiho Industries co., Ltd. Central Laboratory
キーワード 漏れ,アンモニア,試験片,JIS,品質管理,試験法,溶接,ステンレス鋼

1. はじめに
 アンモニア漏れ試験は,低い試験圧力(ほとんど無加圧状態)で高い漏れ検出感度(1×10−8 Pa・m3/s)が得られることから,1970年代から液化天然ガス用の大型地下式貯蔵設備の溶接部漏れ試験として広く利用されてきた。JIS Z 2333はこの試験方法を1993年にJIS化したものである。なお液化天然ガス地下式貯蔵設備でのアンモニア漏れ試験の詳細については当機関紙第46巻7号1)に紹介しているので参考にするとよい。
 今回の規格改正は,規格制定後,10数年が経過し種々の問題点が明確になってきたため実施したものである。なお問題点として
?試験の妥当性を確認可能な試験片及び校正用の漏れ試験片が標準化されていない。
?試験に際して高圧のアンモニアガスボンベの準備や閉止段取り等,試験方法が煩雑すぎるためより簡便な方法が必要とされた。
 このため2005年に外国規格ASTM E10662)との整合性やSI単位系の見直し改正3)を実施したので,その内容について紹介する。

 

JIS Z 2329「発泡漏れ試験方法」の解説と改正内容の紹介
    田口 哲夫 元(株)日立製作所,現(有)ホープコンサルティング   土屋 武雄 東芝ドキュメンツ(株)

Introduction of Explanation and Revision for JIS Z 2329 Methods for
Bubble Leak Testing
Tetsuo TAGUCHI Hope Consulting, Inc. and Takeo TSUCHIYA Toshiba Documents Co., LTD
キーワード リーク試験法,発泡漏れ試験,腐食試験,発泡液試験片

1.  概要
 発泡漏れ試験方法は,古くから産業界において気体漏れを確認するための簡便な手法として広く用いられているが,なぜ漏れ現象として確認できるかについて は意外に知られていない。このため,発泡現象がどのようにして生じるかについて紹介するとともにJIS Z 2329 「発泡漏れ試験試験方法」が,制定後10年を経過し,現状に合わない箇所や,使用時での不具合が生じてきたため,内容の見直しと改正を行った。特に検討の 主項目となった内容は,発泡液の金属への腐食性の確認方法であった。耐食性の高いステンレス鋼や一般鋼材では問題とはならないものの,これら材料に比べ耐 食性の低いアルミ材や銅材の部品を腐食させる事例が生じたため,発泡液の各種金属に対する簡単な腐食確認方法の選定が必要となった。また,発泡液の性能確 認するための発泡液試験片の表示方法を一部改正し,表示から,試験片の内容が容易に理解できるようにした。

 

論文

音響インテンシティーを利用した非破壊非接触検査
  鳥越 一平/森  和也/佐藤 適斎/大嶋 康敬/岩本 達也

Non-destructive and Non-contact Test Method Utilizing Sound Intensity
Ippei TORIGOE*, Kazuya MORI*, Yukiyoshi SATOH*, Yasutaka OHSHIMA* 
and Tatsuya IWAMOTO** Abstract
A new method for detecting the flexural vibration in a test object is proposed. A loudspeaker is set in front of the test object and driven to apply sound waves to the object surface. An intensity probe is placed close to the surface front to measure the sound intensity in the direction from the loudspeaker to the object. When there exists no flaw and the object surface is rigid enough,almost all the acoustic power incident from the loudspeaker is reflected. The measured sound intensity is then zero. In contrast, if there is a flaw inside the object and the specific frequency of the flexural vibration of the surface coincides with the applied sound frequency, a flexural vibration is excited in the object;part of the acoustic power incident upon the surface is dissipated in this internal flexural vibration and the measured sound intensity becomes a non-zero value. Therefore, a flaw in an object can be detected by measuring the sound intensity at the front of the object surface while varying the frequency of the sound radiated from the loudspeaker. An experimental apparatus was built which employed two condenser microphones as the intensity probe. Several model experiments were performed and the results showed the success of the proposed method.
Key Words Sound Intensity, Acoustic Energy, Non-destructive test, Non-contact test, Flexural Vibration

1. 緒言
 音を利用して検査対象の欠陥を非破壊非接触で検査する方法を提案する。種々の構造物の簡便な非破壊検査法として,現在でも広く打音法が用いられている。 例えば,コンクリート壁などの内部の空洞を検出する打音検査は,壁表面にハンマー等で衝撃を与えて空洞上部の板状物体に撓(たわ)み振動を励起し,放射さ れる音を聞いて内部欠陥状態を推定する方法と言うことができる。撓み振動の振幅と振動数とから欠陥を推定するとすれば,従来の打音法に限らず,打音法の構 成要素を他の手段に置き換えた種々の方法を考えることができる。筆者らは,先に,ハンマーではなく衝撃波を用いて打撃を加え,レーザードップラー速度計で 放射音の代わりに表面振動を検出してコンクリート構造物内部の欠陥を非接触に検出する方法1),2),検出した表面速度信号から撓み振動の有無を自動判定 する信号処理法3)などを提案した。また,スピーカーから音波を対象に照射することで,安価にかつ非接触に撓み振動を励起できることを報告した 4),5)。本報告で提案するのは,撓み振動の励起とその検出を,すべて音響的な手段で非接触に行う方法である。本法は,従来の打音法の検査対象にも適用 可能であるが,特に,例えば文化財の内部損傷を検査する場合のように6),7),撓み振動を励起するために強い衝撃を加えることができず,更に,レーザー 計測による振動検出が適さない対象に対して有効な方法である。なお,本法とは対象が異なり手法も異なるが,やはり音を利用した地中文化財などの非破壊的探 査法が報告されている8)−10)。
 音響インテンシティーは,音圧と粒子速度の積の時間平均で与えられるベクトル量で,音響パワーの流束を表す11)。測定の難しさから,直接測定されるこ とは長らく稀であったが,デジタル信号処理技術の発達によって,二本のマイクロホンを用いて粒子速度を求める方式が実用的となり,1970年代後半以降, 騒音工学や建築音響などの分野で広く使われるようになった。本検査法は,検査対象に音波を照射し、対象表面が撓み振動を起こしたときに、対象表面近傍の音 響パワーの流れが変化するのを,音響インテンシティーを測定して検知する方法である。

*原稿受付:平成16年3月28日
  熊本大学工学部(熊本県黒髪2-39-1 )Kumamoto University
  有明工業高等専門学校Ariake National College of Technology

 

資料

第15回ISO/TC 135(非破壊試験)及び関連SC会議に出席して
    大岡 紀一 ISO委員会委員長((社)日本溶接協会参与)

Report on Meeting of the 15th ISO/TC 135 and SCs Norikazu OOKA The Japan Welding Engineering Society,Senior Technical Advisor
キーワード ISO/TC135,SC2,SC4,SC6,SC7,SC8,非破壊試験会議

1. 概要
 第15回ISO/TC 135(非破壊試験)の総会及び関連SCが米国オハイオ州コロンバスのConvention Centerにおいて8ヶ国約30名の出席のもと2005年10月19日から3日間開催された。SC2表面試験(5ヶ国,14名),SC4渦流試験(7ヶ 国,19名),SC6漏れ試験(5ヶ国,15名),SC7技量認定(8ヶ国,27名)及びSC8サーモグラフィ試験(8ヶ国,20名)に関する分科委員会 (SC)が開かれ,日本から総会及び関連SCへは代表としての大岡紀一(元日本原子力研究所),藤岡和俊(発電技検),木村新一郎(日鉄テクノリサー チ),田村芳一(キヤノンアネルバテクニクス),緒方隆昌(川崎重工)の5名,更に各SCへはオブザーバとして,TC 135高木幹雄議長,羽田野甫セクレタリー,SC 6土屋武雄セクレタリーが出席した。
 また,SC7/WG7(Performance based Qualification and Certification)及び WG8(NDT Qualification Examination Specimens)会合がC125会議室において,それぞれ10月15日(土),16日(日)に開催された。
 なお,今回,SC3音響試験及びSC5放射線試験の両分科委員会については開催されなかったが,SC 8(サーモグラフィ試験)については,新たな議長となった韓国が情報交換ための顔合わせと言うことで分科委員会が開催された。

 

 

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