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機関誌

2007年度バックナンバー論文6月

2007年6月1日更新

論文

円柱面から超音波垂直探傷するときのDGS線図

  木村 勝美

 

DGS Diagrams for Ultrasonic Normal Beam Testing of Round Materials
Katsuyoshi KIMURA

Abstract
In the ultrasonic normal beam testing of round steel forgings on a cylindrical surface, the contact between the transducer and surface of the test material is a line form contact. The sound field formed in the test material is thus different from the sound field formed in material having a flat surface. Therefore, the DGS diagram for a round material differ from the diagram for testing on a flat surface. Calculation of the DGS diagram was carried out assuming a transducer with a width considerably narrower than its diameter. It was compared with the experimental results obtained with a round steel 200mm in diameter having flat bottomed holes. The experimental results showed the thickness of the couplant at the edge of the effective width of the transducer was 0.29 times the wave length in the couplant, and coincided with the calculated results.

Key Words

Ultrasonic test, round material, normal beam technique, near field, DGS diagram



 1. 緒言
 舶用機器の軸状鍛鋼品のように,円形断面の試験体を円柱面から平面の垂直探触子で垂直探傷するときには,探触子は試験体と線接触に近い状態で接触するの で,試験体内に形成される音場は平面から探傷するときと異なる。そのため,DGS線図は平面から探傷するときと異なるはずであり,JIS G 0587-1987(炭素鋼及び低合金鋼鍛鋼品の超音波探傷試験方法)の解説で,「円形断面の鍛鋼品の径方向探傷においては,近距離音場の様子は試験体の 曲率半径と探触子によってそれぞれ異なるから,n<1の範囲を使用してはならない」と記述されている。
 1972年に,丸棒を円柱面から探傷するときのDGS線について報告した。丸棒を円柱面から垂直探傷する場合には,探触子と試験体とは線接触に近い状態 となるので,長さが振動子の直径に等しく幅が直径よりかなり小さい長方形振動子で探傷する場合に等しくなると考えた。そして規準化距離n<1の範囲につい て,円形平面傷の規準化直径S≦0.1の場合の計算結果を示しており,nが小さくなるほどエコー高さが高くなること,及び実験結果もそれを裏付けているこ とを示した。
 その後,「欠陥エコー高さ計算のための定理」を見出し,それを用いて垂直探触子のDGS線図の計算について報告した。これによる計算結果は日本非破壊検 査協会の超音波探傷試験の各種のテキストで利用されている。また,1987年にはJIS G 0587に,上記の計算結果のうち,9個のDGS線図が採用された。
 今回は「欠陥エコー高さ計算のための定理」を使用して,軸状鍛鋼品の超音波探傷試験の場合のように,円柱面から5MHzおよび2.25MHzで垂直探傷するときのDGS線図の計算を行い,実験結果と照合して良好な結果を得た。

 

 

 

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