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機関誌

2007年度バックナンバー解説6月

2007年6月1日更新

解説 非線形超音波法による非破壊検査・評価

弾性波の非線形相互作用と応力の効果

  平尾 雅彦 大阪大学大学院基礎工学研究科

 

Nonlinear Interaction of Elastic Waves and the Stress Effect
Masahiko HIRAO Graduate School of Engineering Science, Osaka University

キーワード 超音波,非線形弾性,音弾性,3波相互作用,共鳴条件



1. はじめに
 材料力学のもとになっているフックの法則によれば,応力とひずみ(あるいは,加えた力とそれによる変形量)は比例することになる。これは,金属やセラ ミックスについてよくあてはまるが,ゴムなどの高分子材料で比例しないことは経験するところである。精密な測定をすると,金属の応力−ひずみ関係も特に低 い応力域で下に凸の曲線となり,必ずしも比例しない。このようなとき,応力sijはひずみeklの多項式で表され,

 σij = Cijkl εkl+Cijklmn εklεmn+…  ………(1)

と なる。Cijklを2次の弾性定数(ヤング率や体積弾性定数などに相当するCijklmnを3次の弾性定数とよんでいる。これらは,ひずみエネルギを微小 量であるひずみで展開したときの2次と3次の項の係数である。金属では,弾性ひずみの大きさは高々10−3であるので,上式第2項以降の非線形弾性は弱い 効果であり,工学的には無視してよいことが多い。しかし,固体材料が非線形挙動を示すことは自然なことであり,線形応答は特殊な場合,あるいはその近似と 考えるべきであろう。ここでは,3次の弾性定数によって代表される非線形弾性の背景について述べ,続いてこの3次の弾性定数を測定するひとつの超音波実験 について紹介する。

 

 

 

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