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機関誌

2007年度バックナンバー解説5月

2007年5月1日更新

解説 非破壊検査技術の保守検査への適用例?

高耐熱AEセンサの開発

 坂本  満/田原 竜夫/秋山 守人
 野間 弘昭 (独)産業技術総合研究所

 

Development of High-heat Resistant Broad-band
AE Sensor for Direct Health Monitoring
Michiru SAKAMOTO, Tatsuo TABARU, Morito AKIYAMA and Hiroaki NOMA
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)

キーワード AEセンサ,高温計測,窒化アルミ,薄膜技術,耐熱材料



1.はじめに
 Acoustic Emission(AE)は,材料に変形あるいは亀裂が生じる際,材料内部に蓄えられていた歪エネルギーを弾性波として放出する現象である,と定義されて いる。すなわちAEは,良く知られる微小亀裂の発生に付随するのは勿論として,亀裂の発生に先立つ転位の運動(すなわち塑性変形)や相変態等によっても起 こる。材料に応力が作用して最終的な部材の破壊に到達するまでには,まず塑性変形や相変態が生じ,次に微小亀裂が発生し,これが徐々に(場合によっては急 速に)進展し,やがて破断に至ると考えられるが,この破断に至る過程で,それぞれの段階に特徴的なAEが発生する。それぞれのAEの特徴を弁別できるなら ば,AEは材料の内部で起こる現象に関わる極めて重要な情報を提供する。一方,AEの計測では,発生部位から計測点までを伝搬してきた弾性波を計測してい るので,AEの発生位置とその伝搬経路に関する有用な情報を汲み出すこともできる。このようにAEは,材料の劣化の発生位置や進行状態に関する情報を,予 兆段階にあたる極めて早期から取得出来る可能性を秘めており,状態監視のための有用な技術として再認識されつつある。
 ところでAE計測は,有用な情報とともに様々な撹乱要因も存在するという側面も併せ持っている。何よりもAEの発生と材料内部に起こる様々な現象との関 係が必ずしも明確ではない(全ての情報を利用できていない)ことや,伝搬過程における減衰やモード変化,さらには多様な伝搬経路や反射等の存在である。ま た,AE信号の検出方法や計測装置に起因する問題も存在する。さらに,これら全ての局面において判別困難なノイズの問題も付き纏っている。従って,厳密に 制御された実験室での結果と現場における実機の結果との対比において未だに距離があるのが実情であり,実機への適応を悲観視する風潮が払拭されていない。 このような問題点はあるものの,これを克服するための信号処理や波形解析等の情報処理技術の進展には目覚ましいものがある。AEの波形解析に利用できる高 速波形記憶装置や高性能のスペクトルアナライザ等が普及し,高度な波形パターン解析技術も適用可能になってきており,AEには実時間モニタリングの有力な ツールとしての新しい展開が期待されている。

 

 

 

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