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機関誌

2007年度バックナンバー解説5月

2007年5月1日更新

解説 非破壊検査技術の保守検査への適用例

AE法による地上タンクの保全管理

 前田 守彦 千代田アドバンスト・ソリューションズ(株)

 

AE Application for Maintenance on Aboveground Tanks
Morihiko MAEDA Chiyoda Advanced Solutions Corporation

キーワード アコースティック・エミッション,タンク,HPIS,腐食



1.はじめに
 現在稼動中のタンクには,稼動開始から30年を経過するタンクも多く,これらを効率的に維持・管理することが重要な課題となっている。そのうちタンク底 板の腐食を評価する手法としてAE法が注目され,AE(アコースティック・エミッション)法を用いたタンク底板の腐食損傷評価についてはHPI(高圧力技 術協会)から2005年5月に技術指針(以下,HPISと呼ぶ)が出された。この技術指針は,AE試験を実施することにより,タンク底部の腐食損傷状態を 総合的に評価・判定し,腐食管理の優先度を選択することを目的としている。
 元々,本技術は,欧米で3000例以上の石油タンクについてのデータベースを基に,開放すること無しにタンク底板の腐食状態を評価する技術として多く利 用されている。しかし,評価システムやデータベースが一般に未公開であり,さらに,石油タンクの保守管理に対する考え方が欧米とは異なるため,欧米の技術 をそのまま,日本で利用することは難しい。そのために,独自のデータベース作成のために,AE発生機構の解明,AE位置標定精度向上,実タンクによる検 証,などについて,大学や多くの研究機関で研究されている。

HPIS に従った計測(以下,側板方式と呼ぶ)では,ノイズの影響を受けやすいことや,位置標定について言及されていない点など,検討すべき点がいくつかある。弊 社では,側板方式での問題点を補うため,アニュラ張出部にAEセンサを取り付けてAE計測を行う手法(以下,アニュラ方式と呼ぶ)と側板方式を併用する手 法を提案して実機適用実績を蓄積している。アニュラ方式で位置標定を実施し腐食位置の情報を与え,側板方式に従ってタンクの状態を評価し,より詳細なタン ク底板の腐食評価技術の構築を目指している。本報では,側板方式とアニュラ方式での計測手法の概略を示し,タンク底板のAE法による腐食評価手法の現状に ついて解説する。

 

 

 

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