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機関誌

2009年度バックナンバー8月

2009年8月1日更新

このページの目次

巻頭言

「総説」によせて  坂  眞澄

 経済不況の中において新型インフルエンザの流行,さらにはミツバチの数の激減など,世界的異変が続いて起こっており,グローバルなバランスの崩壊に不安を感ぜずにはいられない時代となっていることは残念であります。
 非破壊検査の分野も不況の影響を受けてはいますが,当協会は種々の活動において不断の努力を続けております。まず公益法人制度改革につきましては,この たび一般社団法人の申請に向けて準備作業のまとめを進めていくことに致しました。これは過去2年程度にわたる種々の情報分析と検討を踏まえたもので,広く 国民全体を対象にするというよりは,比較的自由な立場で会員を意識した事業を展開していく決断をしたということであります。会員の皆様方には,どうぞ宜し くご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 以下,当協会活動の現況をご報告申し上げます。学術組織再編につきましては,来春実施に向けて手続きの整備を鋭意進めております。国際関係につきまして は,本年11月に横浜で開催予定の第13回アジア太平洋非破壊試験会議(APCNDT)の準備を,さらに来年開催予定の第4回日米非破壊検査シンポジウム の準備を着実に進めております。国際標準化活動では,ISO/TC 135(非破壊試験)の幹事国業務を引き受けるとともに,各SC委員会にも積極的に参加し,日本の立場を確固としたものにしています。
 認証事業につきましては,JIS Z 2305「非破壊試験―技術者の資格及び認証」に基づく資格試験を昨年の春秋に実施(受験申請者数:30,836名)しました。その結果,認証登録は昨年 12月現在で61,321件(累計)となっております。NDIS 0601 の登録者数(8,314件)と合わせて69,635件となり,平成19年度に引き続いて堅調な増加を示しています。また,NDIS 0602:2003に基づく非破壊検査総合管理技術者の認証を実施し,8名の認証を行いました。その結果,現在有効な資格登録者数は142名となっていま す。さらに,NDIS 0603:2005「超音波探傷試験システムの性能実証における技術者の資格及び認証」に基づくPD認証では,2009年3月30日現在で24名(累積) のPD技術者を認証しています。国際認証では,2月に実施したPED(欧州圧力機器指令)サプリメント試験に2名が受験し,受験者全員が合格しました。ま た,ASNT-ACCP-PCP-1認証取得のための交渉を引き続き行い,最終合意の段階となっています。
 教育事業につきましては,JIS Z 2305で要求される訓練を目的とした技術講習会を開催し,2,691名が受講しました。また,再認証試験・移行試験のための講習会を全国5地区で開催し ましたが,受験者の移行がほぼ完了したために3月をもって終了しました。
 標準化活動では,日本非破壊検査協会規格(NDIS)の制定・改正に積極的に取組んでおり,JISについては原案の作成,改正及び見通しを行い,その普 及に努めております。また試験片事業として,試験片委員会品質管理マニュアルに基づき試験片の製作,検定,頒布を行うとともに,各種試験片の信頼性証明書 を発行しております。
 機関誌「非破壊検査」の発行に関しては,特集企画や連載企画を充実させることに努めております。また,出版事業として,出版計画書に基づいて出版物の製作審議,管理,頒布を行っており,さらに当協会出版物の海外向け出版の検討を進めています。
 最後に,広報活動では,ホームページの内容の一層の充実を図り,また協会のPR活動を積極的に行っていきます。
 本年度も当協会の運営に対します会員はじめ関係各位の益々のご協力をどうか宜しくお願い申し上げます。

 

 

報告・展望(2008)

放射線透過試験の活動報告と今後の展望
    加藤  潔  2008年度放射線分科会主査,日本X線検査(株)

Review on Radiographic Testing


Kiyoshi KATO
Chairman of Research & Technical Committee on Radiographic Testing in 2008,
Japan X-ray Inspection Co., Ltd.         

キーワード 放射線透過試験,放射線画像,デジタルラジオグラフィ,中性子ラジオグラフィ,CT,加速器



1. はじめに
 放射線分科会は,主に放射線透過撮影及びコンピュータトモグラフィ(CT)による検査を対象としているが,最近,環境問題やセキュリティ等の社会的環境 の変化から,放射線計測に関する話題も増えてきている。また,近年の研究開発の流れは,ほとんどがデジタル技術を背景としたものであるが,国内での検査の 実務の流れは,X線フィルムを用いた従来の流れが根強く,研究開発と検査の実務との間にギャップがみてとれる。分科会活動の活性化も含め,検査実務へのデ ジタル技術の普及が今後の課題と思われる。
 以下に,平成20年度の分科会の活動を報告するとともに,分科会での発表,機関誌の掲載記事等のレビューをもとに,技術動向と展望を述べさせていただく。

 

 

超音波探傷試験の活動報告と今後の展望
    廣瀬 壮一  2008 年度超音波分科会主査,東京工業大学大学院情報理工学研究科

Review on Ultrasonic Testing


Sohichi HIROSE
Chairman of Research & Technical Committee on Ultrasonic Testing in 2008, Graduate School of Information Science and Engineering, Tokyo Institute of Technology

キーワード 超音波探傷,材料評価,シミュレーション,ガイド波,非線形超音波 レーザ,空中超音波,電磁超音波,フェイズドアレイ,画像化,信号処理



1. はじめに
 超音波探傷は比較的簡単な装置で手軽に始められる検査法であるが,材料内部のきずを対象とすることが多く,得られた計測データの解釈は難しい。そのため 分科会に所属する会員も多く,様々な研究がなされている。本報告は,平成20 年度の超音波分科会の活動実績を報告するとともに,機関誌に掲載,あるいは,分科会,講演大会などにおいて発表された論文をレビューすることによって,研 究の動向を探り,今後の展望を示すことを目的とするが,今後の展望を示すことは,私の能力を超えているので,発表論文の概要をお読みいただいた上で,読者 の皆様にお考え頂きたい。

 

 

電磁気・浸透及びその他による非破壊試験の活動報告と今後の展望
   塚田 和彦 2008年度表面探傷分科会主査,京都大学大学院工学研究科

Review on Magnetic, Electromagnetic, Penetrant and Other Nondestructive Methods


Kazuhiko TSUKADA
Chairman of Research & Technical Committee on Surface Methods in 2008,
   Graduate School of Engineering, Kyoto University 

キーワード 磁粉探傷,浸透探傷,目視試験,渦電流探傷,漏洩磁束探傷,漏れ試験,電位差法,電磁波レーダ,非破壊材料評価



1. はじめに
 ここでは,表面探傷分科会の2008年度の活動の概要と,当分科会が対象としている種々の非破壊検査手法に関する研究の現状,ならびに今後の展望について述べる。
 表面探傷分科会は,名称からいえば,表面きずを検査するための非破壊検査技術を取り扱う部門ということであるが,歴史的経緯からいえば,内部きずの検査 法として認知されている放射線あるいは超音波を用いる方法以外のすべての検査法を取り扱う部門として活動を行ってきた。取り扱う試験方法は,磁粉探傷,浸 透探傷,目視試験,光学的検査法,渦電流探傷,漏洩磁束探傷,漏れ試験など,きわめて多岐にわたり,そのなかには,サーモグラフィや画像処理など,大きく 発展する形で特別研究委員会として独立して活動している部門もある。そうしたなか,2010年度から学術組織の再編が予定されている。それに向けた学術委 員会および再編WGの作業状況は,本号記載の報告記事に見られるとおりである1)が,その再編において表面探傷分科会は,これまで取り扱ってきた様々な非 破壊検査の方法を整理統合して,あらたに3つの部門へと変貌を遂げる予定となっている。磁粉・浸透・目視部門,電磁気応用部門,漏れ試験部門の3つである が,それぞれの部門においてどのような活動を目指すかについては,その再編WGの報告記事に併せて掲載されている。なおこの報告では,その新しい枠組みを 少し先取りする形で,研究の現状と今後の展望を述べることとしたい。
 なお,平成20年4月23日,東京工業大学で開催された第6回学術セミナー「最新の非破壊検査と認証制度の動向」において,「表面探傷技術の現状と課 題」と題する講演が廣島龍夫氏によって行われた。その内容は,機関誌57巻12号に掲載されている2)。表面探傷分科会が対象としている各種非破壊試験法 の今後の発展の方向・問題点等を見極める上で,非常に参考となるものである。本報告が,その記事内容に負うところが少なくないことは,どうかお許し頂きた い。

 

 

応力・ひずみ解析の活動報告と今後の展望
    野方 文雄 2008年度応力・ひずみ測定分科会主査,岐阜大学

Review on Stress and Strain Analysis


Fumio NOGATA
Chairman of Research & Technical Committee on Stress and Strain Analysis in 2008,
Gifu Universi

キーワード 応力・ひずみ測定,材料評価,強度評価,画像・信号処理,光学的計測,可視化,健全性評価,バイオメカニクス



1. はじめに
 本分科会は,非破壊検査に必要な基本知識である学理と計測・検査方法および関連技術について学際的視点から研究し,それらの成果の実用化,新技術,研究 動向,解析データの情報交換と相互研鑽の場として活動しております。近年のコンピュータの急速な能力向上により,計測データのデジタル化による数学的処理 が容易となり信号,画像処理の高速化,センシングとデータ処理の有理的融合により多様化し非破壊検査技術は次世代へと大きく発展しております。また,計測 原理や方法で分けられている各分科会のキーワードは相互に重なる報告も多く見られるようになりました。2008年度における活動報告を以下に要約します。

 

 

報告

保守検査特別研究委員会活動報告
   佐藤 信義  2008年度保守検査特別研究委員会主査,旭化成(株)

Report of Ad Hoc Research & Technical Committee on Maintenance


Nobuyoshi SATO
Chairman of Ad Hoc Research & Technical Committee on Maintenance in 2008,
Asahikasei Corporation

キーワード 非破壊検査,保守検査,モニタリング,損傷評価,健全性評価,圧力容器,供用期間中検査



1. 概要
 保守検査特別研究委員会は,その役割を,「プラント・設備などの安全性や信頼性を維持・向上させるために,溶接部,応力集中部,腐食等の劣化危険性の高 い部位,高温設備・高圧設備等の劣化可能性の大きい設備,劣化進行部位・部品を多数保有する設備などについて,その劣化程度の検査,信頼性評価,コンディ ションモニタリング,及び余寿命診断評価などを行い,さらに安全性と経済性を総合評価して寿命延命策を検討,部分補修,単純更新,弱点部位の改善更新,等 々の寿命延命策を推進すること」と設定している。
 保守検査特別研究委員会は,プラント・設備が使用され始めてから廃棄されるまでの長期間に亘って,その健全性を確保するための,管理技術を含むあらゆる 技術に関連するものであるため,年2回程度のシンポジウムで産官学の専門家達による講演と,議論を行うことを主要活動としている。
 また,そうした貴重な講演内容を論文集にまとめ,発刊することにより,広く社会に貢献しようとするものである。
 2008年度は,2008年9月にミニシンポジウムを東京都の東京理科大森戸記念館で,2009年3月には,本シンポジウムを第7回保守検査シンポジウムとして長崎でそれぞれ開催した。
 また,保守検査特別研究委員会として,本格的なシンポジウム開催を始めてから,7年を経過し,この間,多岐にわたるテーマで,大学や研究機関でご活躍の 著名な先生方,企業の幹部としてご活躍の方々,現場の第一線でご活躍の方々等にご講演いただいた。保守検査特別研究委員会幹事会では,これらの講演を論文 集としてまとめる作業を昨年度から開始し,実行委員会で議論を重ね,全体構成に合わせた整理作業を行ってきた。その結果,整理作業も完了したた め,2009年度の発行を目標に,幹事及び実行委員会一同鋭意努力を重ねており,保守検査論文集(仮称)として,研究会参加の皆様に配布できるように,最 後の詰めを行っている。

 

 

画像処理特別研究委員会活動報告
   青木 公也 2008年度非破壊検査画像処理特別研究委員会主査,中京大学情報理工学部

Report of Ad Hoc Research & Technical Committee on Image Processing


Kimiya AOKI
Chairman of Ad Hoc Research & Technical Committee on Image Processing in 2008,
Chukyo University

キーワード 画像処理技術の実利用化,目視検査の自動化,製造工程検査,画像センシング,センサーネットワーク



1. はじめに
 非破壊検査画像処理特別研究委員会では,画像検査に対する現場の要望に応えるべく,画像処理技術の実利用化を目的に活動している。近年,画像処理技術 は,検査,ロボット,ITS,メディア処理,セキュリティ,認証,インターフェイスなど,その応用範囲の拡大は留まるところを知らず,益々拡大している。 そこで,本特別研究委員会は各種学会・研究委員会の枠を越えて連携・協力し,広く画像処理・センシングに関するシンポジウムやワークショップを共同企画し ている。これによって,非破壊検査に関わる画像処理技術に常に新たな風を吹き込み続けている。

 

 

アコースティック・エミッション特別研究委員会活動報告
   榎   学 2008年度アコースティック・エミッション特別研究委員会主査,東京大学大学院工学系研究科

Report of Ad Hoc Research & Technical Committee on Acoustic Emission


Manabu ENOKI
Chairman of Ad Hoc Research & Technical Committee on Acoustic Emission in 2008,
Graduate School of Engineering, The University of Tokyo

キーワード AE,診断,非破壊検査



1. はじめに
 本年度のAE特別研究委員会においては,3回の研究委員会の開催,そのうち1回は第19回国際アコースティック・エミッションシンポジウム(The 19th International Acoustic Emission Symposium, IAES)として開催した。また教育委員会におけるレベル2のアコースティック・エミッションのテキスト出版への支援も主な活動として行った。以下にその 概要を述べる。

2. 第1回AE特別研究委員会
 第1回の研究会および幹事会は,平成20年9月10日(水)にJSNDI瑞江センターにおいて開催された。研究会は東京大学の榎主査がコーディネイタとして企画を行い,以下の3件の発表があった。18名の参加があり,活発な議論が行われた。

(1)AE技術とものづくり診断 −プレス加工の状態監視と出来映え保証−
榊原 誠(AE技術研究所)
(2)超音波疲労試験時のAE・非線形超音波解析による高強度鋼の疲労進展評価
志波光晴(物質・材料研究機構)
(3)高温機器損傷監視のための光ファイバAEセンサの開発
西ノ入聡(電力中央研究所)

  幹事会においては,塩谷幹事(19回国際AEシンポジウム実行委員長)より会議の準備状況についての説明があった。また,榎主査よりIAESの国際的な存 在価値を高めるために優れた研究者を表彰することも目的として,今回から岸上賞およびIAES論文賞の授賞を始めることの報告があった。あわせてこの件に ついては既に学術委員会で了承を得ていることの報告があった。教育A委員会委員長が水谷幹事から塩谷幹事への交代したことが了承された。レベル2テキスト が今年中に発刊予定であることの報告があった。ISO TC 135/SC 9においてAE関連の規格について投票の要請があったことの報告があり,中村幹事と羽田野幹事で相談して対応することにした。

 

 

新素材の非破壊評価特別研究委員会活動報告
   小倉 幸夫 2008年度新素材の非破壊評価特別研究委員会主査,ジャパンプローブ(株)

Report of Ad Hoc Research & Technical Committee on NDE of New Materials


Yukio OGURA
Chairman of Ad Hoc Research & Technical Committee on NDE of New Materials in 2008,
Japan Probe Co., Ltd.

キーワード 新素材,複合材料,非破壊評価,損傷評価,非破壊検査,材料評価



1. はじめに
 新素材の非破壊評価特別研究委員会は1986年に設置され,以来約20年活動している委員会で,セラミックス,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)な どの複合材料,電子部品に用いられる樹脂,溶射皮膜・コーティング・スパッタリングなどによる薄膜などを対象とした各種新素材の非破壊検査技術について研 究,調査を行っている。新素材の非破壊検査手法としては,放射線透過試験法,超音波試験法,電磁気を利用した試験法,赤外線サーモグラフィ法,レーザ計測 法などが適用されている。新素材の場合,一般に検出対象となるきずが小空孔(ボイド)やき裂(又ははく離)状のもので寸法も小さく,また表層および接合界 面に存在することが多い。このため半導体などの電子部品や複合材料の検査用としてマイクロフォーカスX線透過試験法や高周波集束探触子を用いた超音波水浸 探傷法などが適用され,最近では,非接触検査法として,レーザ超音波法や空中超音波法,また接合部のマイクロクラックおよび閉じたき裂の検出を目的として 非線形超音波法などが鋭意研究されている。
 本研究委員会では,これらの各手法を横断的に捉え新素材の非破壊検査技術を確立すべく情報収集および技術交流を行っている。また,必要に応じてNDIS 化などの標準化作業も推進している。研究委員会は通常3回/年開催し,内1回はオープンシンポジウムを開催している。平成20年度は日本材料学会などとの 合同委員会を京都で開催し,(独)産業技術総合研究所などとの共催によるオープン形式シンポジウムをつくばで開催した。

 

 

鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験特別研究委員会活動報告
   辻  正哲 2008年度鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験特別研究委員会主査,東京理科大学

Report of Ad Hoc Research & Technical Committee on NDT of Reinforced Concrete


Masanori TSUJI
Chairman of Ad Hoc Research & Technical Committee on NDT of Reinforced Concrete in 2008, Tokyo University of Science

キーワード 活動報告,特別研究委員会,非破壊試験,鉄筋コンクリート構造物



1. はじめに
 近年,鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験は,劣化診断や改修などのための鉄筋探査あるいはコンクリートの品質確認などの目的の他,竣工検査にまで広く 適用されるようになってきた。こうした状況を踏まえ,鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験特別研究委員会(略称:RC特研)では,研究会の開催に加え て,NDISの改正及び制定,実務上有用な土木研究所との共同研究の成果の公開,第3回シンポジウムの開催準備など,活発な活動を行った。会員数76名

 

 

赤外線サーモグラフィによる非破壊評価特別研究委員会活動報告
   阪上 ?英 2008年度赤外線サーモグラフィによる非破壊評価特別研究委員会主査,大阪大学大学院工学研究科

Report of Ad Hoc Research & Technical Committee on Infrared Thermography

Takahide SAKAGAMI
Chairman of Ad Hoc Research & Technical Committee on Infrared Thermography in 2008,
Osaka University

キーワード 赤外線サーモグラフィ,非破壊評価,施設見学会,規格



1. はじめに
 最近,「赤外線カメラ」あるいは「赤外線サーモグラフィ」という用語が最も頻繁に使われたのは,新型インフルエンザ流行に伴う発熱者検知であろう。イン フルエンザの発熱者検知は赤外線サーモグラフィによる工業的非破壊検査とはあまり関係ないようであるが,実は両者には共通する点が多く見られる。遠隔から 広範囲を測定でき,効率的・視覚的に異常を検知できること,スクリーニング検査に威力を発揮することなどが挙げられ,これらは他の手法には無い赤外線サー モグラフィに期待される大きな特長である。高度成長期につくられた様々な機器・構造物の経年劣化による破壊が問題となり,稼働中の機器・構造物を遠隔から 効率的に検査できる非破壊試験法に注目が集まっており,赤外線サーモグラフィによる非破壊試験法への期待も大きい。
 赤外線サーモグラフィによる非破壊評価特別研究委員会は,2008年度も赤外線サーモグラフィによる非破壊評価技術のさらなる発展と普及を目指して,2 回の定例研究委員会を開催するとともに,NDIS原案作成,ISO原案作成への国際協力等の標準化活動ならびに赤外線サーモグラフィによる非破壊試験技術 者認証制度立ち上げに向けての準備作業,ならびにこれに関連するテキスト執筆や編集作業を行った。以下に活動の概要を報告する。

 

 

標準化委員会活動報告
   兵藤 行志 2008年度標準化委員会委員長,(独)産業技術総合研究所

Report of Standardization Committee

Koji HYODO
Chairman of Standardization Committee in 2008, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)

キーワード 非破壊検査,規格,NDIS,JIS,ISO



1. 概要
1.1 はじめに
 日本非破壊検査協会(JSNDI)では,標準化委員会とISO委員会が連携をとりながら,そして,日本工業標準調査会及び関連学・協会と密接な協力を行いつつ,国内・外の非破壊試験に関する標準化の一体的な推進を図っている。
 本報告では,標準化委員会の活動を,原案作成に関わっている日本工業規格(JIS)及び日本非破壊検査協会規格(NDIS)の動向の面から報告する。なお,関連するISOの動向の詳細に関しては,ISO委員会活動報告を参照されたい。

 

 

ISO委員会活動報告
   大岡 紀一 2008年度ISO委員会委員長,(社)日本溶接協会参与

Report of ISO Committee

Norikazu OOKA
Chairman of ISO Committee in 2008, The Japan Welding Engineering Socity, Senior Technical Advisor

キーワード 非破壊試験,ISO,国際規格



1. 概要
 前年度に引き続き,ISO(国際標準化機構)規格案件に関する事項を検討,審議及び投票のための集約,さらにTC 44(溶接),TC 17(鋼)等の国内審議団体と密接な連携のもと情報交換等を行った。
 第17回WCNDTが2008年11月25日(土)から4日間,中国,上海の Friendship Hall(友誼会堂)をメインに開催された。本来2ヵ月前の8月開催であったが,北京オリンピックのために中国政府の要請によって急遽変更された。 ISO/TC 135(非破壊試験)関連では今回のWCNDTに併設してISO/TC 135/SC 7(Infrared thermography for non-destructive testing)及びISO/TC 135/SC 7/WG 7(Performance Based Qualification and Certification)の二つのSCが開催された。
 両者のSCへは日本代表委員としての大岡紀一((社)日本溶接協会)が出席し,前者には兵藤行志(産総研)委員が出席した。
 一方,当協会におけるISO委員会は第1回の本委員会を2009年3月に,これに先立ち第1回の分科会を2009年2月に開催した。以下にISOに関連する主な会議の概要及び本委員会等における諸活動について述べる。

 

 

国際学術委員会活動報告
   井上 裕嗣 2008年度国際学術委員会委員長,東京工業大学

Report of International Committee

Hirotsugu INOUE
Chairman of International Committee in 2008, Tokyo Institute of Technology

キーワード 非破壊検査,ICNDT,APCNDT,国際会議



1. はじめに
 (社)日本非破壊検査協会(JSNDI)における国際的な活動は,学術部門では「国際学術委員会」と「ISO委員会」,事業部門では「国際認証委員会」 と教育委員会の下の「国際教育専門委員会」が主に担当している。これらのうち国際学術委員会は,国外の非破壊検査法に関する広範な情報の交換及び収集とそ れの国内への普及及び広報を通じて関連技術者・研究者等の相互交流を図り,協会の国際学術活動を推進することを目的としている。2008年度の時点では, これら常設の委員会に加えて「APCNDT実行委員会」及び「第4回日米シンポジウム組織委員会」が設置されており,それぞれの国際会議の準備活動が行わ れた。JSNDIにおける国際的な活動は,これらの各種委員会間で相互に関連し合っている部分も少なくないため,本稿では2008年度における国際学術委 員会の活動に加えて,関連の各種委員会等の活動の一部も報告する。

 

 

教育委員会活動報告
   三原  毅 2008年度教育委員会委員長,富山大学大学院理工学研究部

Report of Education Committee

Tsuyoshi MIHARA
Chairman of Education Committee in 2008, Graduate School of Engineering, University of Toyama

キーワード 教育委員会,非破壊検査,教育・訓練,BOK,JIS Z 2305



1. はじめに
 教育委員会活動は,各専門委員会の委員長,委員,講師・指導員の方々の努力により,今年も引き続き講習会受講者は盛会を維持して推移してきており,順調に活動を進めてきた。ここでは以下に,2008年度教育委員会の活動実績について報告する。

 

 

認証運営委員会活動報告
   寺田 幸博 2008年度認証運営委員会委員長,高知工業高等専門学校

Report of Certification Steering Committee

Yukihiro TERADA
Chairman of Certification Steering Committee in 2008, Kochi National College of Technology

キーワード 非破壊検査,非破壊試験,技術者認証,ISO 9712,JIS Z 2305, NDIS 0602,NDIS 0603



1. はじめに
 非破壊検査技術者の認証制度をJIS Z 2305:2001「非破壊検査−技術者の資格及び認証」に基づいて行う新認証制度に移行して5年を経過し,大半の技術者の移行が完了した。この新制度に よる試験は,回を追う毎に受験者数が増加し,公平性と透明性を確保した認証制度の定着が本格化してきたことの証となっている。本制度は,ISO 9712:1999(Non-destructive testing−Qualification and certification of Personnel)に準拠していることから,海外の制度との相互認証に向けて,いくつかの努力が継続的になされている。また,JIS Z 2305が準拠した国際規格は,ISO 9712:2005として改正され,この改正がもたらす課題に関しても認証運営委員会の下にJIS Z 2305改正対応ワーキンググループを設置して検討を進めている。この新規格の中でも,新しい非破壊試験方法への適用が示されており,認証運営委員会の下 に設置した赤外線サーモグラフィの認証制度ワーキンググループの活動により,新しい技術分野の認証がスタートしている。また,リークテストの技術分野でも 認証制度の立ち上げに向け,議論を開始した。

 

 

JSNDIの学術組織再編について −組織再編作業の経過報告−
   学術委員会

Restructuring of the Research and Technical Committees of the JSNDI Academic Affairs Division:Report on On-Going Work Process
Academic Affairs Committee

キーワード 非破壊検査,非破壊試験,技術者認証,ISO 9712,JIS Z 2305, NDIS 0602,NDIS 0603



1. はじめに
 日本非破壊検査協会(以下,協会とします)における学術活動は,非破壊試験に関わる標準化,教育,認証などの基盤をになうものとして重要な位置を占めて おり,春秋講演大会や機関誌において研究成果発表が行われているほか,専門分野別の学術活動の場として,以下の4つの「分科会」と6つの「特別研究委員 会」(以下,特研とします),および期間限定で設置される「研究会」があります。

【分科会】
 放射線分科会,超音波分科会,表面探傷分科会,応力・ひずみ測定分科会
【特別研究委員会】
 保守検査特別研究委員会,画像処理特別研究委員会,アコースティック・エミッション特別研究委員会,新素材の非破壊評価特別研究委員会,赤外線サーモグラフィによる非破壊評価特別研究委員会,鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験特別研究委員会
【研究会】(期間2年,現在は以下の3つの研究会が活動中)
 電界計測を基礎とする非破壊評価高度化研究会,レーザー超音波および先進非接触計測技術研究会,非線形超音波研究会

  これらのうち,分科会は非破壊試験の主要分野(放射線,超音波,表面探傷,応力・ひずみ測定)をカバーする学術組織として協会設立以来の歴史を持ち,主と して団体会員に属するメンバーによる活動が行われてきました。また,特研も,その活動趣旨に賛同する団体の登録メンバーにより活動が行われています。いず れにおいても,活発な活動により,当協会の学術的基盤が支えられてきましたが,これまで個人会員の参加は限定的となっています。図1に,分科会および特研 の大まかな構成を示します。
 協会が取り組んできた近年の課題の一つに,学術活動の一層の活性化に向けての検討があります。協会では,平成16〜17年度に将来構想検討委員会,平成 18〜19年度に学術改革検討委員会を設置し,分科会・特研への個人会員参加の促進や,従来の縦割型組織だけでなく,異なる分野が横断的に連携できる組織 の構築などが議論されてきました。その過程で,会員への意識調査も行われており,その結果は機関誌でも紹介されています(「非破壊検査」第55巻3号 (2006),136〜139頁)。
 これらの検討の結果,まとめられた学術組織再編案が平成20年4月に協会ホームページ上で発表されるとともに,説明会が開催され(4月23日),また各 支部総会等の場でも説明が行われました。これを踏まえ,平成20年度の評議員会(5月20日)および総会(5月21日)に学術組織再編案が提案され,承認 されました。その骨子は以下の通りです。
(1)分科会と特別研究委員会を12の学術組織(専門委員会)に再編すること。
(2)新学術組織では個人会員の参加を可能とすること(ただし原則として1部門)。
(3)団体会員の年会費据置きで登録数上限を増加し,資料送付サービスを行うこと。
(4)新学術組織に対して基礎交付金と活動交付金による予算編成を行うこと。
 総会で承認された上記の学術組織再編を実行に移すため,平成20年度より学術委員会内に学術組織再編WGが設置され,新組織に適用する新しい規則の制定 と関連する現行規則の改定,現組織を円滑に新組織へ移行させるための各種検討作業が進められているところです。
 ここでは,平成22年度からの新組織移行を目的とした再編作業の進捗状況をご報告するとともに,現段階で想定されている再編後の学術組織について簡単に紹介させて頂きます。

 

 

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