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機関誌

2020年8月号バックナンバー

2020年8月17日更新

目次

巻頭言

新型コロナウイルス禍での協会ビジョンの実現
阪上隆英

 2020 年度も引き続き会長を務めさせていただくにあたり,ご挨拶を申し上げます。皆様には日頃から当協会の諸活動へのご支援・ご協力を賜り誠にありがとうございます。
 当協会では,これまで推進してまいりました,「JSNDI ビジョン」を継続・発展させていくという大きな目標の下で,“JSNDI ミッションステートメント「社会に価値ある安全・安心を提供するJSNDI」”,“JSNDI バリュー”および“JSNDI アクション”を指針とした活動を行っております。2019 年度においても,学術,教育,認証,出版といった当協会の基盤となる活動はもとより,様々なJSNDI アクションを実行してまいりました。各種関連団体・業界との共催行事,技術交流,共同研究等を通じて,産業界,学術界,行政をつなぐネットワークを構築し,業界のバリューチェーンを意識したネットワークの形成に努めるとともに,諸外国のNDT 協会との交流・連携,アジア・太平洋非破壊試験連盟(APFNDT),ISO/TC 135 への対応などのグローバル展開も発展させてきました。
 学術活動では,非破壊検査総合シンポジウム,秋季講演大会,国際会議QIRT-Asia 2019 をはじめとする講演会・研究会を通じて,活発な議論,情報交換が行われました。特に(一社)日本機械学会との年次大会共同セッションは,多くの研究者・技術者の参加を得て成功裏に終了しました。また,国土交通省から請け負った「台車枠の探傷検査に関する調査検討」では,UT,ET およびTT の新技術の適用性を報告しました。
 教育活動では,技術講習会,実技講習会および再認証(実技)講習会などを開催し,約5900 名に受講いただきました。また,航空産業関連で経済産業省が進める非破壊検査員育成に関する教育活動として,NAS 410 に準拠した訓練機関である「航空産業非破壊検査トレーニングセンター」の運営に協力いたしました。
 認証活動では,JIS Z 2305 に基づく非破壊試験技術者およびISO 18436-7 に基づく機械状態監視診断技術者の試験と認証登録を行いました。昨年12 月末現在における,JIS Z 2305 に基づく非破壊試験技術者の登録数は86443 件,ISO 18436-7 に基づく機械状態監視診断技術者の登録数は157件となっています。航空産業関連では,日本航空宇宙非破壊試験委員会(NANDTB-Japan)によりNAS 410 資格試験機関として承認され,第1 回試験を実施しました。また,非破壊試験技術者の認定・認証制度の50 周年記念式典を開催し,認証事業50 周年記念技術者表彰,認証事業50 周年記念認証功労賞の表彰,認証事業50 周年記念感謝状の贈呈をいたしました。
 国際関連では,BINDT のコンディションモニタリングに関する国際会議,年次講演大会への参加・特別講演,ASNT 年次講演大会および関連会議への参加,シンガポールで開催された国際会議WCCM への参加およびAPFNDT 総会への出席等を通じ,国際交流を推進してまいりました。
 しかしながら,昨年度終盤の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は,協会活動の広い分野に大きな影響を与えました。新型コロナウイルスの感染拡大防止および緊急事態宣言の発出を受けて,学術,教育,認証,国際関係など,すべての分野において,活動の中止,延期,見直しを余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症については,今後直ちに終息に向かうことは期待できそうになく,引き続き厳しい社会状況の中において,当協会を適切に運営することの責任の重さを感じております。今年度の当協会の運営については,新型コロナウイルス感染症禍の中で,非常事態対応を適切に行うことが最重要事項と考えております。日常生活に行動変容が要求されているのと同様に,学協会活動に対しても今後の活動形態の変容が求められていると考えます。当協会は,学会と協会の両機能を併せ持つ団体であり,社会の安全・安心に直結する非破壊試験技術の向上,ならびに非破壊試験技術者の教育,認証という重要な使命を担っています。このため,社会の安全に関わる非破壊試験技術者の教育および認証に関する諸活動は,取り得る万全の感染症対策を施したうえで,可能な限り遂行していかなければならず,会員ならびに資格保有者に対する様々なサービスを,質の低下を最小限にとどめて提供してまいりたいと考えます。このために,「会員・資格保有者への迅速かつ的確な情報の提供」,「非破壊試験技術者の教育・認証事業の早期回復」に努めていきたいと思います。「学術行事の早期回復」も重要事項であり,一般の行動変容と同様に,学協会の学術活動にも大きな変容が必要ですが,会員の皆様からご意見をお聞かせいただきながら,学術活動の最適な実施形態を検討していきたいと存じます。
 以上のような新型コロナウイルス感染症対応をしっかり行ったうえで,新型コロナウイルス感染症禍においても,「JSNDI ビジョン」,「JSNDI アクション」をこれまでどおり継続・発展させ,「非破壊検査」ならびに「非破壊試験技術者」のプレゼンスの向上を図っていきたいと思っております。引き続き,皆様のご協力を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。

 

報告展望

報告・展望(2019)

放射線による非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度放射線部門主査,ポニー工業(株) 釜田 敏光

Review on Radiographic Testing
Chairman of Research & Technical Committee on Radiographic Testing in 2019
Pony Industry Co., Ltd. Toshimitsu KAMADA

キーワード:放射線透過試験,放射線画像,デジタルラジオグラフィ,X線 CT,ラインセンサ

はじめに
 放射線部門は,放射線を利用した非破壊試験を広く対象としている。放射線が物質を透過する物理的な現象を利用した放射線透過試験の放射線画像によって,内部構造を知ることができる。これらは二次元の透過像(または透視像)であるが,その画像を検査対象物の周囲の多くの方向から収集して,画像再構成という処理を行うと,検査対象物の表面とその内部を立体的に表す三次元のCT 像を得ることができる。これらCT はX 線を用いるX 線装置が最も一般的であり,医療用として広く普及しているとともに産業用としても普及している。近年,産業用X 線CT では,より速く,より鮮明な,より精度の高いCT 像が得られるようになった。そのため,検査対象物の表面だけでなく,従来接触式三次元座標測定機(CMM)では,計測用の接触プローブがアプローチできないために測定することが難しかった内部も非接触・非破壊で計測可能な三次元測定機としてX 線CT が利用され始めている。ドイツでは,X 線CT の寸法測定精度の評価法で規格化され,それに基づいて寸法測定精度を保証する「計測用X 線CT」と称する装置が各国で製品化されている。
 このようにX 線CT による寸法(形状)の測定に加えて,内部を構成する物質の分布などの測定に関連する課題,最新の技術と計測への応用例にフォーカスした活動を実施した。
 2019 年度機関誌68 巻5 号で,「X 線CT の計測への応用」と題した特集号を刊行した。
 また,最新の放射線についての情報を機関誌及び部門講演会を通じて会員相互に情報収集及び情報発信を行うことを主な活動としている。これらの企画を行うために幹事会を定期的に開催して情報の収集及び機関誌及び部門講演会などの企画を実施している。
 2019 年度の部門活動の報告を,部門講演会,シンポジウム,秋季講演大会での発表,並びに機関誌の掲載記事などについて,活動内容の報告,技術動向の展望などを述べる。

 

超音波による非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度超音波部門主査,長岡技術科学大学 井原 郁夫

Review on Ultrasonic Testing
Chairman of Research & Technical Committee on Ultrasonic Testing in 2019
Nagaoka University of Technology Ikuo IHARA

キーワード:超音波探傷,波動伝搬,シミュレーション,ガイド波,フェーズドアレイ,信号処理,イメージング,
非線形超音波,非接触超音波,弾性波計測,材料評価,探傷装置,センサ,試験片,AI・ICT

はじめに
 超音波部門では,超音波による非破壊試験に関する活発な研究・講演活動が実施されている。それらは現場の超音波探傷試験における様々な創意工夫や新たな取り組みに関するものから世界的にも新しい超音波計測の創成に関するものまで多岐にわたっている。ここでは,2019 年度の超音波部門の活動実績を報告するとともに,機関誌ならびに各種活動で公表された論文や講演資料を中心に振り返り,2019 年度の動向をまとめるとともに今後の展望を述べる。

 

磁粉・浸透・目視試験による非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度磁粉・浸透・目視部門主査,日本電磁測器(株) 堀  充孝

Review on Magnetic Particle, Penetrant and Visual Testing
Chairman of Research & Technical Committee on Magnetic Particle, Penetrant and Visual Testing in 2019
Nihon Denji Sokki Co., Ltd. Michitaka HORI

キーワード:磁粉探傷試験,浸透探傷試験,目視試験

はじめに
 磁粉・浸透・目視部門は表面探傷に関わる試験として広く活用されている。化学,発電などのプラント設備,鉄鋼・自動車・航空・鉄道などの産業分野などをはじめ,最近ではインフラストラクチャのメンテナンス等に磁粉・浸透・目視試験に関わる検査技術は重要な位置づけになっている。学術部門では,従来の表面分科会から,磁粉・浸透・目視部門,電磁気応用部門,漏れ試験部門の3 部門に変わったが,3 部門合同で講演会及びシンポジウム等の活動を行っている。これら3 部門は,表面に発生する きずを検出するという共通テーマを有しており,表面3 部門として共同で活動することが,お互いの部門の活性化にもつながっていると考えている。2019 年度の表面3 部門が合同で行った部門合同研究集会,シンポジウム,秋季講演大会の概要を述べると共に,磁粉・浸透・目視部門の活動報告及び今後の展望について述べる。

 

電磁気応用による非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度電磁気応用部門主査,EMF 応用計測 藤原 弘次

Review on Electromagnetic Testing
Chairman of Research & Technical Committee on Electromagnetic Testing in 2019
EMF Laboratory Hirotsugu FUJIWARA

キーワード:渦電流,漏洩磁束,表面きず,電磁気,材質計測

はじめに
 電磁気応用部門は,磁粉· 浸透· 目視部門,漏れ試験部門と3 部門合同で活動を行っている。この3 部門を表面3 部門と呼んでおり,共通点は主に表面きずを対象としているということである。そのため,この3 部門での合同活動による情報共有は互いの部門への活性化に極めて有効である。電磁気応用部門では電磁現象を応用した検査法の研究開発や実用化などを主体に議論している。
 主な検査方法としての渦電流探傷や漏洩磁束探傷等は広く産業分野で適用されている。これらは非接触でかつ人体への影響も小さく,またきず信号が電気信号として得られるなど数ある非破壊検査手法の中でも多くの特徴をもっている。また,鋼材の機械的特性と電磁気的特性が密接に関係していることから,高感度な材質計測への適用も可能な点も優れた特徴であろう。また,一般に検出が難しいとされる厚板鋼材や離隔した対象物の検査についても,技術の進展によりその適用範囲が広がりつつある。さらに対象も金属材料だけでなく,CFRP などの非金属材料にも広がりを見せている。経年化が進む設備の効率的な検査や,製品のさらなる品質管理・保証の面からも,ますます検査技術の高度化が求められている。
 本報告では,従来から続けている3 部門の連携体制をもとに,2019 年度において活動してきた内容を中心に報告するとともに,電磁気応用部門が取り扱っている検査の動向と展望について述べる。

 

漏れ試験による非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度漏れ試験部門主査,(国研)産業技術総合研究所 計量標準総合センター 新井 健太

Review on Leak Testing
Chairman of Research & Technical Committee on Leak Testing in 2019
National Metrology Institute of Japan (NMIJ)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) Kenta ARAI

キーワード:リーク試験法,品質管理,認証,規格,国際規格

はじめに
 漏れ試験は安全・安心を担保するために重要な非破壊試験の一種であり,ガスや石油等の備蓄タンク,各種化学プラントやその配管,船舶,自動車から航空,宇宙分野,真空分野,食品や医療機器,電子部品等,非常に広範囲な産業で実施されている。JIS Z2300:2009「非破壊試験用語」において,「漏れ」は「壁の両側の圧力差又は濃度差によって液体又は気体が通過する現象」と定義されている1)。その漏れは,物質の意図しない流失あるいは流入の原因となり,環境汚染,火災・爆発等の事故,製品の品質低下を引き起こす。漏れ試験は,漏れを製造段階,稼働中の保守検査等様々な段階で検出して,その品質低下や重大な事故を未然に防止するために不可欠な技術であり,我が国の工業の品質,安全,環境等を背後で支えている重要な技術の一つとなっている。
 漏れ試験には,対象となる試験体,何を使って漏れを検出するか,その検出感度等により,様々な方法が開発されている。それら漏れ試験方法の概要は,JIS Z 2330 にまとめられている2)。そのうち,主要な漏れ試験方法を,表1 にまとめた。
 漏れは,発泡漏れ試験を除けば体感できない。そのため,漏れ試験に特化した計器であるリークディテクターを用いることが多い。リークディテクターを用いる漏れ試験について,その実態は漏れ量の計測と考えることができる。信頼性の高い計測を行う際には,図1 に示すように,一般的に次の三つの要素が必要である3):(1)正確な計測器,(2)計測器の正しい使い方,(3)測定者の高い技能。また,これら三要素を下から支える教育,研究活動がある。本稿では,これらの活動と今後の展望について報告する。

 

応力・ひずみ解析の活動報告と今後の展望
2019 年度応力・ひずみ測定部門主査,豊橋技術科学大学 足立 忠晴

Review on Stress / Strain Measurement
Chairman of Research & Technical Committee on Stress / Strain Measurement in 2019
Toyohashi University of Technology Tadaharu ADACHI

キーワード:応力・ひずみ測定,ひずみゲージ試験,材料評価,強度評価,実験力学

はじめに
 応力・ひずみ測定部門が主催する応力・ひずみ測定と強度評価シンポジウムは2018 年度で50 回を迎え,2019 年度から新たな50 年に向けて活動をしている。応力・ひずみ測定は材料力学,固体力学,構造力学に基づいて,材料・構造設計,材料・構造物評価などを行う際の基本である。有限要素解析が出現して以来,シミュレーションにより材料・構造評価が行われるようになり,試験・測定を行わないままに機器の設計・開発が行われることもある。シミュレーションでは,ある仮定,理論により行われることから,それらが実際の材料,構造に適用できるかを検証する必要があり,解析だけでは結果の信頼性を確保することができないことは言うまでもない。最近では材料・構造にさらに高度な信頼性が求められるようになってきており,ますます応力・ひずみ測定,試験による解析結果の検証の重要性が高まっている。新材料が開発されると改めて解析に必要となる材料特性を得なければならず,また温度,圧力などの使用環境,短時間あるいは長時間の特性変化などの各種の材料特性の依存性を考慮することも必要となっている。また,従来はサンプルを作製するために,応力・ひずみ測定,試験はシミュレーションに比較して多くの経費を要するためにシミュレーションが有効であるとされてきた。3D プリンタの出現により試験体の作製が容易になり,むしろ測定,試験を実施した方が経費もそれほどかからず短時間でも結果を得ることが可能となるような場合もある。このようなことから,応力・ひずみに関するシミュレーションと測定・試験とは,その時々の技術の進歩とともに変化し,相補的な関係であり,それぞれが重要である。
 応力・ひずみ測定部門は,材料および構造物の基本的な物理量である応力,ひずみの測定手法およびデータ処理を含む解析・評価手法の開発・改良,応力・ひずみの測定手法に基づく材料特性評価・強度評価,さらに応力・ひずみ測定手法の様々な分野への応用などで幅広い分野対象としており,それらの学術的成果を公表するとともに実用化,国内外の研究動向を調査,分析し,所属会員間の情報交換と相互研鑽などを主な目的として活動している。さらに,得られた学術的成果に基づいて規格の立案を検討している。応力・ひずみ測定部門で取り扱う対象材料は,機械構造物を主に構成する鉄鋼材料をはじめとする金属材料,セメントだけでなく,高分子材料,セラミックスのみならず,それらの複合材料へと広がり,さらに近年では生体材料,生体組織をも対象としている。これらの材料を対象として,超高温・極低温あるいは高圧環境下,衝撃時の短時間あるいはクリープなどの長時間の特性変化などの影響を考慮した材料,構造物の応力・ひずみ測定に関する研究が行われている。最近では社会的に大きな問題となっている建築・土木構造物の老朽化に関連した構造物の健全性評価としての変形,ひずみ測定に関する研究が行われている。さらに単に測定方法だけでなく,測定された結果のデータ処理,また画像処理による手法についても活発に研究されている。

 

保守検査の活動報告と今後の展望
2019 年度保守検査部門主査,(国研)産業技術総合研究所 津田  浩

Review on Maintenance Inspection
Chairman of Research & Technical Committee on Maintenance Inspection in 2019
National Institute of Advanced Industrial Science & Technology Hiroshi TSUDA

キーワード:非破壊検査,保守,モニタリング,健全性評価,経年変化

はじめに
 保守検査部門はプラント設備,社会インフラなどの構造信頼性を維持・向上させるための技術を関係者間で共有することで,信頼性と経済性を両立させた効率的な保守検査を検討し,その実施を促すことを活動の目的としている。そこで既存検査技術の現場適用事例紹介の他,近年,さかんに研究されているロボット,IoT,および人工知能(AI)を活用した新しい検査技術を紹介する場として保守検査ミニシンポジウムを毎年2 回の頻度で開催してきた。そしてこれらのミニシンポジウムにおいて注目された講演の解説記事を集めた特集号を例年,機関誌10 月号に掲載するほか,各ミニシンポジウムにおいて30 歳以下の若手研究者,技術者による講演の中から最も優れた講演に対して新進賞を授与している。
 また表面形状を高精度に計測する技術として注目を集めている画像計測の非破壊検査への適用を促進させるため,「光3 次元形状計測技術による非接触非破壊検査の標準化に関する研究委員会」を2018 年に設立した。同委員会はこれまで人体や部品の立体形状を測定するための手段として発展してきた光3 次元形状計測技術を,保守検査分野へ適用させるために必要な標準化を整備することを活動の目的としている。設立二年目の今年は光3 次元形状計測技術が活用される現場の見学会と標準化整備に関する議論を行い,標準化文書の作成を進めた。

 

製造工程検査の活動報告と今後の展望
2019 年度製造工程検査部門主査,愛知工業大学 塚田 敏彦

Review on In-Process Inspection
Chairman of Research & Technical Committee on In-Process Inspection in 2019
Aichi Institute of Technology Toshihiko TSUKADA

キーワード:製造工程,検査,画像処理,AI,ViEW2019,DIA2020

はじめに
 製造工程検査部門は,(一社)日本非破壊検査協会(JSNDI)の応用技術部門の一つとして,1979 年に当時「005 画像処理特別研究委員会」として発足した。その後今日まで,産業界における実用的な画像センシングや画像処理技術の発展を目指して活動を行っている。
 製造工程検査部門では,最新の広範囲にわたる画像応用認識技術を当協会会員へリアルタイムに分かりやすく提供することを一つの大きな役割と位置付けて,活動を行っている。そのための活動の一つとして,本部門は各種学会・研究委員会の枠を超えて連携・協力し,広く画像センシング・認識に関するシンポジウムやワークショップを年に3 回程度共同企画し協賛している。この活動によって非破壊検査・外観検査・目視検査に関わる画像認識技術の新たな情報提供を続けている。
 本稿では,活動報告として,2019 年度に協賛・共同企画した2件のワークショップを中心に紹介して画像技術に関する動向を概観した後に今後の展望について言及する。

 

アコースティック・エミッションによる非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度アコースティック・エミッション部門主査,電気通信大学 結城 宏信

Review on Acoustic Emission
Chairman of Research & Technical Committee on Acoustic Emission in 2019
The University of Electro-Communications Hironobu YUKI

キーワード:アコースティック・エミッション,講演会,国内コンファレンス,規格

はじめに
 アコースティック・エミッション(AE)部門はAE 法の進展と普及に貢献することを目的に,日本におけるAE 法の学術研究,技術開発,標準化,技術者養成をけん引する活動を行っている。AE 法は計測対象に本質的な制限がなく種々の環境下で高周波の微弱な信号を扱うことから,部門には機械系,材料系,土木系,資源系,電気系など様々なバックグラウンドをもつ会員が集まり,2020 年3 月末現在で個人会員73 名,団体会員57 組織の登録がある。本稿では2019 年度(2019 年4 月~ 2020 年3 月)のAE 部門の活動概要を中心にAE 法の現状と今後の展望を述べる。

 

新素材の非破壊評価の活動報告と今後の展望
2019 年度新素材に関する非破壊試験部門主査,東京工業大学 水谷 義弘

Review on Non-Destructive Evaluation of New Materials
Chairman of Research & Technical Committee on Non-Destructive Evaluation of New Materials in 2019
Tokyo Institute of Technology Yoshihiro MIZUTAN

キーワード:新素材,非破壊計測

はじめに
 新素材に関する非破壊試験部門では,新素材の非破壊評価に関する研究,調査及び普及を目的とした活動を行っている。様々な非破壊試験技術及び非破壊評価技術の応用を横断的に調査・議論していることに本部門の特徴がある。例えば,複合材料の試験技術,材料の劣化評価に関連した計測技術や,高温環境における計測技術などを切り口として,他の団体や研究会との連携を積極的に行いながら調査・研究を行っている。2019 年度は,6 月の総合シンポジウムで「新素材を対象とした,もしくは極限環境における非破壊計測技術」のオーガナイズドセッション(OS)を,3 月には「安全・安心な社会を築く先進材料・非破壊計測技術シンポジウム」を計画した。前者については計画どおり開催したが,後者については新型コロナウイルスの蔓延を防ぐために止むなく中止した。

 

鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験部門主査,日本大学 湯浅  昇

Review on Non-Destructive Testing of Reinforced Concrete Structures
Chairman of Research & Technical Committee on Non-Destructive Testing of Reinforced Concrete in 2019
Nihon University Noboru YUASA

キーワード:活動報告,鉄筋コンクリート構造物,非破壊・微破壊試験,研究委員会,標準化,講習会

はじめに
 鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験部門(以下,RC 部門)では, 新型コロナウイルス感染拡大防止のため予定していた「RC部門設立30 周年記念祝賀会」,第3 回部門講演会「歴史的構造物に関するミニシンポジウム」が延期/中止を余儀なくされたが,2019 年度は部門講演会を2 回開催した他,学術委員会,標準化委員会,教育委員会,編集委員会と関連し,各種研究委員会,各種NDIS 制定・改定・準備WG が活発に活動を行った。

 

赤外線サーモグラフィによる非破壊試験の活動報告と今後の展望
2019 年度赤外線サーモグラフィ部門主査,(株)サーモグラファー 山越孝太郎

Review on Infrared Thermographic Testing
Chairman of Research & Technical Committee on Infrared Thermographic Testing in 2019
Thermographers Co., Ltd. Kotaro YAMAKOSHI

キーワード:赤外線サーモグラフィ試験,資格制度,状態監視

はじめに
 赤外線サーモグラフィ(TT)部門では,部門講演会およびミニシンポジウムの開催や秋季講演大会での発表などの学術活動のほか,座学と実技による講習会の開催を行った。今年度は(一社)日本機械学会状態監視振動診断技術者コミュニティ第11 回ミーティングにおいて,「赤外線サーモグラフィによる機械設備の状態監視と診断について」と題して講演を行い当協会の活動を紹介し交流を深めた。ISO,JIS 規格の制定・整備,技術者認証制度の構築,テキストの作成などを実施し,試験技術の開発・確立・普及を目的とした活動を継続して行っている。

 

報告

報告(2019)

学術委員会活動報告
2019 年度学術委員会委員長,長岡技術科学大学 井原 郁夫

Report of Academic Affairs Committee
Chairman of Academic Affairs Committee in 2019
Nagaoka University of Technology Ikuo IHARA

キーワード:学術活動,非破壊検査,表彰制度,研究助成,研究奨励金

はじめに
工業製品や構造物の安全確保のために今日利用されている非破壊検査技術は,学術研究に端を発したものであり,本協会において現在も学術活動はその基礎である。学術委員会は,協会の学術活動全般を総括する位置づけであり,関連する3 名の理事と12部門及び2 研究会の主査から構成されている。2019 年度の学術委員会の委員構成は以下の通りであった。
井原郁夫:委員長/学術担当副会長
     兼 超音波(UT)部門主査
望月正人:技術開発センター長/学術担当理事
西野秀郎:学術担当理事
釜田敏光:放射線(RT)部門主査
堀 充孝:磁粉・浸透・目視(MT/PT/VT)部門主査
藤原弘次:電磁気応用(ET/MFLT)部門主査
新井健太:漏れ試験(LT)部門主査
足立忠晴:応力・ひずみ測定(SSM)部門主査
結城宏信:アコースティック・エミッション(AE)部門主査
山越孝太郎:赤外線サーモグラフィ(TT)部門主査
塚田敏彦:製造工程検査(IPI)部門主査
津田 浩:保守検査(MI)部門主査
湯浅 昇:鉄筋コンクリート構造物の非破壊試験(RC)部門
     主査
水谷義弘:新素材に関する非破壊試験(NMT)部門主査林 高弘:超音波計測に関する萌芽技術研究会佐々木敏彦:cosα 法方式X 線残留応力測定法研究会
 2019 年度は,学術委員会を7 月,11 月,2 月の計3 回,学術運営委員会を7 月,10 月の計2 回開催した。以下に2019 年度の学術活動について報告するが,各部門における実質的な学術活動の詳細についてはそれぞれの部門の報告・展望を,また国際学術活動については国際学術委員会活動報告をご覧いただきたい。

 

標準化委員会活動報告
2019 年度標準化委員会委員長,ポニー工業(株) 釜田敏光

Report of Standardization Committee
Chairman of Standardization Committee in 2019
Pony Industry Co., Ltd. Toshimitsu KAMADA

キーワード:非破壊試験,非破壊検査,規格,NDIS,JIS,ISO

概要 はじめに
 日本非破壊検査協会(JSNDI)では,標準化委員会とISO 委員会が協力し,また,経済産業省や日本規格協会等の関連学・協会との緊密な連携の下,日本国内外の非破壊試験に関する検査技術の標準化を図るとともにその普及を推進している。
 本報告では,標準化委員会の2019 年度の活動として,日本産業規格(JIS)及び日本非破壊検査協会規格(NDIS)の原案作成や改正に関わる動向及び関連の事業について説明する。なお,ISO の動向に関しては,別途ISO 委員会活動報告がなされている。

 

ISO 委員会活動報告
2019 年度ISO 委員会委員長,(一社)日本非破壊検査協会 大岡 紀一

Report of ISO Committee
Chairman of ISO Committee in 2019
The Japanese Society for Non-Destructive Inspection Norikazu OOKA

キーワード:ISO/TC 135/SC 7,CEN/TC 138,ISO/TC 135/SC 9,資格及び認証,ISO 9712,ISO 規格

概要
 ISO(国際標準化機構)規格案件に関する事項を検討,審議及び投票のための集約,さらにTC 44(溶接),TC 17(鋼)等の国内審議団体と連携をとり関連ISO 規格の対応と共に情報交換等を前年度に引き続き実施した。
 国際会議に関しては,ISO 9712 の改正に伴うISO/TC 135/SC 7とその関連TG(Task Group)会議がカナダのエドモントンで6 月17 日から19 日まで開催され,緒方隆昌(ISO 国内審議団体代表,SC 7 委員,SC 7/TG 4 Convenor),八木尚人(ISO/TC 135/SC 7/WG 9 エキスパート,JSNDI 教育担当理事),大岡紀一(ISO/TC135 国際議長,ISO 国内委員会委員長,JSNDI 顧問)及び大岡昌平(ISO/TC 135 及びSC 6 国際幹事,SC 7/TG 委員)が出席した。また,10 月14 日から17 日までフランスにおいて,2021 年1 月のISO 9712 のCD 投票に向けて,先のTG の続きの会議が開催され,引き続きISO/TC 135 に相当する欧州規格委員会であるCEN/TC 138 も行われた。そこには,緒方委員及び大岡(昌)国際幹事が出席した。
 他のSC 関連では,中国が幹事国のSC 9(AE)会議が広州で11 月4 日から5 日まで開催され,国内ISO 委員会の中村英之委員及び大岡国際議長が出席した。
 一方,韓国ソウルでのISO/TC 135 及びその関連SC 会議が2020 年6 月12 日から15 日までの4 日間にわたり開催されるのを受けて,7 月22 日から24 日まで大岡国際議長と大岡(昌)国際幹事が現地の状況を確認しての事前打合わせを行った。WCNDT(World Conference on NDT) 韓国開催時に併設して行われるISO/TC 135 及びその関連SC に向けた対応を2021 年2 月まで実施した。
 国内におけるISO 委員会については,第1 回本委員会を2019年6 月5 日及び第2 回を2020 年2 月26 日に開催している。
 また,分科会については,本委員会に先立って,第1 回を2020年2 月14 日に開催している。
 一方,国内における非破壊試験・検査に関わる種々の関連情報を共有する目的で,各種団体会員出席のもと,公開ISO 委員会を第1 回本委員会に併設して開催した。

 

国際学術委員会活動報告 2019 年度国際学術委員会委員長,川崎重工業(株) 緒方 隆昌

Report of International Committee
Chairman of International Committee in 2019
Kawasaki Heavy Industries, Ltd. Takamasa OGATA

キーワード:非破壊検査,ICNDT,WCNDT,APFNDT, ASNT,BINDT, KSNT,TWI,日米非破壊試験シンポジウム,国際会議

はじめに
 国際情勢において,米国の自国第一主義,英国のEU 離脱などに加え,昨年度末頃からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックは,各国の往来を封鎖するまでに拡大し,それまでグローバル化を唯一無二の選択肢として進めてきた世界各国の経済成長の考え方に一石を投じる事態となっている。しかしながら,新型コロナウイルスの治療,ワクチン開発など,技術の面においては,これまで以上の世界各国の情報交換や国際協調が重視されている。これは,様々な国際情勢の変化はあっても,学術・技術の面からは,グローバルな人材交流,情報交換,連携などは,依然として極めて重要であることを強調している。
 当協会は,平成28 年度に,今後のさらなる発展に向けたビジョンとして,“JSNDI ミッションステートメント”及び“JSNDI バリュー”を定め,これらを実現する具体的な施策として“JSNDI アクション”を定めた。この中で,国際学術に深く関わるのは,「学術・産業分野の拡大と融合」及び「有効なグローバル展開の強化」が挙げられる。具体的には,機械の状態監視のような他分野との境界領域へ取り組みを広げることや,非破壊試験における世界の先端的研究機関・協会などとの相互交流や情報交換を促進してグローバルネットワークの強化を図り,グローバル社会における我が国の本分野のポテンシャル向上を目指している。
 国際学術委員会は,これらJSNDI アクションを実行し,国外の非破壊試験方法に関する,より広範な学術情報の交換,収集及び相互交流を図る活動を行った。また,国際非破壊試験委員会(International Committee for Non-Destructive Testing;ICNDT)及びアジア・太平洋非破壊試験連盟(Asia-Pacific Federation for Non-Destructive Testing;APFNDT)の活動をはじめとする国際的活動は,学術のみに留まらず,認証,教育,標準化などが相互に密接に関連していることから,運営委員会の下に国際対応WGを設け総合的な判断を行っている。本稿では,本号における掲載区分の関係上,国際学術委員会活動以外も含むこれら国際活動全般を対象に記載した。

 

教育委員会活動報告
2019 年度教育委員会委員長,三菱日立パワーシステムズ検査(株) 八木 尚人

Report of Education Committee
Chairman of Education Committee in 2019
Mitsubishi Hitachi Power Systems Inspection Technologies, Ltd. Naoto YAGI

キーワード:訓練,講習会,JIS Z 2305:2013,ISO 9712:2012

はじめに
 教育委員会(以下,「当委員会」という)は,非破壊検査に従事する技術者の技量向上を目的として各種教育・訓練の計画と実施並びに関係書籍の編集などを行っている。
 また,JIS Z 2305:2013「非破壊試験技術者の資格及び認証」の改正に伴う訓練カリキュラムの見直しや再認証実技試験に対応する実技試験の運用等の対応をこれまでに推進してきており,今後,国際相互承認を視野に入れた訓練組織としてのさらなる体制整備を進めていきたいと考えている。ここでは,2019 年度の当委員会の主な活動実績を報告する。

 

認証運営委員会活動報告
2019 年度認証運営委員会委員長,和歌山大学 村田 頼信

Report of Certification Steering Committee
Chairman of Certification Steering Committee in 2019
Wakayama University Yorinobu MURATA

キーワード:非破壊試験,技術者認証,ISO 9712,JIS Z 2305,NDIS 0602,NDIS 0603,NDIS 0604,NDIS 0605,ISO 18436-7

はじめに
 日本非破壊検査協会の認証事業の中心となっているのは,JISZ 2305 に基づく非破壊試験技術者の認証である。2003 年にJIS Z2305 に基づく認証が開始されてから16 年が経過し,この認証資格が十分に社会に認識されたことに伴って,認証制度の運用責任も年々重みを増している。この間,特に2013 年のJIS Z 2305 改正に伴う旧制度から新制度への移行は大きな課題であったが,2017年春期からは新制度による再認証試験を開始し,ようやく定常的な運用に至っている。一方で,NDIS 0604「赤外線サーモグラフィ試験−技術者の資格及び認証」とNDIS 0605「非破壊試験−漏れ試験技術者の資格及び認証」をJIS Z 2305 に移行し,2019 年春期試験より新規試験を開始しさらなる活性化が期待されている。
 当協会では,次のそれぞれの規格に基づく技術者認証を実施している。
JIS Z 2305 「 非破壊試験技術者の資格及び認証」
NDIS 0602 「非破壊検査総合管理技術者の認証」
NDIS 0603 「超音波探傷試験システムの性能実証における技術者の資格及び認証」
ISO 18436-7 「 Condition monitoring and diagnostics of machines – Requirements for qualification and assessment of personnel – Part 7: Thermography」
これらのうちJIS Z 2305 に基づく認証は「認証運営委員会」で実施している。また,NDIS 0602 に基づく認証は「非破壊検査総合管理技術者認証委員会」,NDIS 0603 に基づく認証は「PD 認証運営委員会」,ISO 18436-7 に基づく認証は「CM 技術者認証運営委員会」でそれぞれ実施している。さらに,「国際認証委員会」の協力の下で,諸外国との相互認証及び資格乗入を実施している。
 なお,2019 年度の認証運営委員会の委員構成(50 音順)は次のとおりであった。
村田頼信 委員長,認証担当理事
井上裕嗣 査定委員長,認証担当理事
谷口良一 問題管理委員長
鶴田孝義 認証担当理事
藤岡和俊 委員
藤原弘次 認証広報委員長
古川 敬 倫理苦情処理委員長
三原 毅 試験委員長
望月正人 試験基準委員長,CM 技術者認証運営委員長,
     PD 認証運営委員長
吉田和行 認証事業部長
 本稿では,JIS Z 2305 に基づく認証を中心に,関連する認証及びその他の認証関連事項を報告する。

 

出版委員会活動報告
2019 年度出版委員会委員長,新日本非破壊検査(株) 脇部 康彦

Report of Publication Committee
Chairman of Publication Committee in 2019
Shin-Nippon Nondestructive Inspection Co., Ltd. Yasuhiko WAKIBE

キーワード:出版,テキスト,問題集,規格

はじめに
 出版委員会は,非破壊検査技術の教育・普及に関する出版物の企画,編集,制作及び頒布を行うことによって,非破壊検査技術水準の向上を図ることを目的として設置された委員会であり,その活動は教育委員会の活動と密接に関係している。そのため,その構成員は,各部門の関係者とともに教育委員会からの派遣委員,理事等で構成されている。図1 に,出版活動の典型的な例を示す。

 

試験片委員会活動報告
2019 年度試験片委員会委員長,ポニー工業(株) 猿渡  保

Report of Reference Block Committee
Chairman of Reference Block Committee in 2019
Pony Industry Co., Ltd. Tamotsu ENDO

キーワード:標準試験片,対比試験片,分類用ゲージ,トレーサビリティ,品質証明

はじめに
 当協会では,非破壊検査技術の普及と向上の活動の一環として,非破壊試験実施に必要な標準試験片と対比試験片(以下「試験片類」と言う)及びゲージを頒布している。非破壊試験において試験片類は,試験装置の点検・調整,性能確認,試験結果の定量化,試験方法の標準化,試験結果への影響因子の評価など重要な業務に使用されている。
 試験片類及びゲージの頒布先は,主に日本国内向けであるが,年間頒布数及び金額は,超音波探傷試験用の試験片類が約620 体,磁粉探傷試験用の試験片類が約3590 体等となっており,総販売額は約9,150 千円と前年度に比べ数量で約18%,金額で27%増加した。これだけの試験片類及びゲージの頒布実績は,国内ユーザの要望に適合していることと当協会への信頼の結果と考える。
 今回は,2019 年度の当委員会の活動状況をご紹介する17)。

 

広報活動委員会活動報告
2019 年度広報活動委員会委員長,大阪府立大学 谷口 良一

Report of Public Relations Committee
Chairman of Public Relations Committee in 2019
Osaka Prefecture University Ryoichi TANIGUCHI

キーワード:非破壊検査,広報活動,セミナー,展示会

はじめに
 広報活動委員会では,協会の活動を情報公開し,会員へのサービス向上や新入会員の増加促進に努めている。協会の行事や各種案内を主として協会ホームページで公開するとともに,社会の様々な年齢層を対象とした各種セミナーや展示会への参画などを通じて,広く一般に向けて非破壊検査技術の認知度の向上を目指した広報活動を行っている。ここでは広報活動委員会の2019 年度の主な取り組み事項について報告したい。
 2019 年度は,前年に引き続き,ホームページを利用した広報活動の充実に努めた。また工業高校生をはじめとした若手技術者の育成を目的とした「明日を担う次世代のための非破壊検査セミナー」を継続して発展させるとともに,さらに若い世代に向けた非破壊検査技術の啓蒙活動として,(一社)日本能率協会主催の「夏休み2019 宿題・自由研究大作戦」に参加した。また,協会のシンボルともなっているイメージキャラクターであるノンディを,全面的に利用するとともに,国際的な活動も視野に入れた活動を行った。
 なお,2019 年度の広報活動委員会は次に示すように計3 回開催した。第1 回目:2019 年6 月26 日(水),第2 回目:2019 年10 月18 日(金),第3 回目:2020 年1 月21 日(火)。
 以下,2019 年度の主な活動について報告する。

 

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